"自称" 陰キャは愛されたい

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この時間の授業は1組と2組が合同で行われる。グラウンドを男子と女子で半分こ。今日は男子はサッカーらしく、だから伊東があんな自信満々だったのか…と今更気付く。

ゲーム前の軽いボールパスの練習。1人だけガチな奴を見つける。うん。あの髪は間違いない、伊東だ。

みんな談笑しながらパス繋いでるのに、伊東だけ必死じゃん。笑いそうになりながらも、サッカーをする伊東はあんまり見たことなかったから、ちょっとだけカッコイイなって思ったり。

見ててって言われたからにはちゃんと見なきゃと思ってボーッと眺めていると。1年から仲良くしてる友達のメグが「なーにそんな見つめてんの！」と隣に座った。


『え？！いや、別に……！』

「へえー、伊東純也ね」

『ち、違う！断じて違うから！』

「私何も言ってないんだけど」


は、しまった……。早とちりした自分を殴りたい気分。ガクンと落ち込む私を横目に「なるほどねぇ」とニヤニヤするメグ。伊東並に意地悪なんだったこの子。


「まあー私は田中碧派だけど」

『誰それ』

「知らないの？隣のクラスのサッカー部。爽やかイケメンで、その上性格も紳士でまるで王子さま！……って有名だよ」

『へえー知らなーい』


やれやれという表情で「あんたは伊東純也に夢中かあ」と冷やかされて「だから違うってー！」と抗議する私に。


「危ない！！！」


という誰かの叫び声は届かなかった。次の瞬間、私の頭にサッカーボールが直撃した。



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