私はきっと【赤】

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勢いだけで引き止めたから、だんだん恥ずかしなってくる。それにシゲも驚いてるから余計に。


掴んでいた腕から少しずつ下ろして、裾のあたりを遠慮がちに掴む。









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「…急に、ごめん」


赤「お、おん」









自分から気まずくしてどうするん…。シゲも困ってるやんか。


なんて切り出したらええか、また分からなくなった。









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赤「あー、なんか久しぶりやな」





そう呟いて、彼は頭を掻く仕草を見せた。


なんのことか分からんくて、首を傾げる。









赤「っ、…いや！Aが俺の名前呼んだん、久しぶりやなぁって」


「…そうやったっけ？」


赤「せやで、中学の後半はもうシゲやったやん」









そんな時期からやったっけ…。



…でも確かに、自分から呼び方を変えたのは覚えてる。

中学に入っても関係は変わらず、思春期とかそういうのもお互いあったんやろうけど、特になんの変化も私たちにはなかった。



けど、周りはそうはいかんくて。


よく "シゲと付き合ってるん？" って聞かれてた。

幼馴染みやから仲もええし、大毅って名前呼びしてるんも私だけやったから。



誤解されるのも嫌やったし、シゲにも申し訳無いって思ってからは呼び方も変えた。









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「…そうやね」


赤「Aくらいやったからさ、大毅って呼ぶん。…せやから、──────」


「え…？ごめん、聞こえへんかった」


赤「っ、いや…なんもない」


「…？」







そう言ってシゲは少しだけ顔を赤くして、私が掴んでない方の右手で口元を隠した。









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(…久しぶりに呼ばれて、ちょっと嬉しかったなんて恥ずかしくて言えへんわ)








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