私の話を聞いてくれ (ページ5)

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済州島のお笑い芸人① ページ5

私が働いているケーキ屋にその人は週に2回ほど来る。
ケーキ屋と言っても一重にケーキだけを売っているのではなく様々な洋菓子も売っており、最近は低カロリーで作られたモノなども売っている。
その日とは毎回その低カロリーのお菓子を買って少し話して帰っていく。
そして今日もカランカランと扉が開く音がし、お客さんが来たことを示すほうを見ればその人が来ていた。

「いらっしゃいませ」

「この前のやつすんっっごく美味しかったんだけど！低カロリーであの美味しさってもはや罪じゃない？いや、先ず食べた瞬間から口の中に広がる…」

「あはは、相変わらずだね」

何度も来てくれる彼。毎回買いに来たらこうして前回買った商品の食レポ…というのか？そのような感想を言ってくれる。まるでタレントのようだがどちらかと言うと話し方や話す内容が面白かったりするのでお笑い芸人にも思えてくる。
あまりにもキラキラした目で言ってくるので可愛らしく思えてきて話すようになりいつしかお客様と店員という関係性から友達という関係性になった気がする。
そして彼のいい所はそんな素直なところ以外にもある。

「あ～、家の近くにもあったら母さんにも食べさせてあげれるのに！ほんっとに残念！」

この場合の家、は実家のことだ。彼の実家は確か済州島らしい。素敵なものを大切な人と共有したいという想いが素晴らしいしきっといい人なんだろうなと思える。

「あっ、そういえば出そうか考えてる試作品あるんだけど食べてみる？」

「え！？遂に作らせてもらえることになったの！？」

以前から彼にも相談していたのだが、いちアルバイトの私は基本接客作業が仕事だ。しかし私自身洋菓子が好きなこともあり店長に一度新商品の案を出してみると、なんと試作品を食べて判断するから作ってきて、と言われ商品になれるチャンスを貰えたのだ。
自分の事のように喜んでくれる彼を見るととても温かい気持ちになる。

「あっ！ごめん…そういえばつくったの低カロリーのお菓子じゃないんだ。いつもぶーちゃん低カロリー食べるから…」

いつかに彼はダイエットだから低カロリーを選んで食べてるんだと言っていたので折角作ったが…となったが『確かにきっかけはそうだけど今は普通に好きだから食べてるんだよ～、普通のお菓子も食べるよ！』と言ってくれたので急いでお菓子のある冷蔵庫へと行く。