まっくろくろ主婦�� ページ3
母が『これ』と言って見せてきたのはスーパーのチラシ。聞くといつも行くスーパーを少し超えたところに新しく出来たスーパーらしい。新しく出来たからかチラシには" 開店セール！ "と大々的に書いてある。
アイスをよく買う私は母から安売りしてるからせっかくならそこで買ってくればと言われ気分転換がてら新しく出来たスーパーに行くことにした。
「あ、これ持っていきなさい」
出かける直前に母はそう言うと私の手にふたつのエコバックを持たせた。
私がこの2袋に入るくらい沢山アイスを買うと思ってるのだろうか？私はどこのワンパク少年だ？と思いながらも『備えあれば憂いなしって言うでしょ』と私を送り出す。
気分転換なのですぐ来れる自転車では来ず歩いてきたのだが間違いだっただろうか、行き道だけで既に疲れてしまった。
だがお目当ての店が見えると少し回復してどんなアイスを買おうか見る前から悩ましくなる。
「流石新しいだけある」
家の近くのスーパーとは違い人も多く活気がある。
しばらく物色しているが近くのスーパーには無い商品などが多く目移りしてしまい危うく前の人にぶつかるところだった。見てみると前の人はかなり背が高くて2mはあるんじゃないかと思うくらいの人物でよくこんな人気づかなかったなと自分で自分に驚いた。
それにしても…、と不躾ではあるが前の人物をジロジロと見てしまう。
黒の帽子に黒のマスク黒の上着に黒のズボンオマケに靴も黒で頭からつま先まで真っ黒で見るからに怪しかった。到底私の無い頭では前世はまっくろくろすけだったのかも、位のことしか理由が思いつかなかった。
そんなことを考えていたがさほど私には興味がなかったので足早にアイスクリームコーナーへと向かった。
「やっぱり自転車でくるべきだった。」
目新しい商品が多かったからか予定より沢山買ってしまった私は後悔の念を口に出していた。
そしてトボトボ家の方向へと歩き出した。
少し歩くと前方に先程のまっくろくろすけと思わしき人物がしゃがみこんでいた。
一体どうしたのだろうか？帰る道はこの道しかないので彼の横を通らなければ帰れない。
もしかして体調が宜しくないのかもしれない、もしそうならいくら他人と言えど見て見ぬふりは流石にできない。意を決して私はしゃがみこんでるまっくろくろすけに声をかけてみた。
「どうしたんですか？」
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作者名：なこ | 作成日時：2020年5月19日 14時
