＿２０＿ ページ22
はぁ、はぁ、と互いの荒い息が静かな空間に響いている。
二度、欲を吐き出した俺の身体はすっかり脱力しきっていてぐったりとしいている。
その身体を伸之くんは抱きしめる。
大きな身体で包みこまれ、本来ならば予期せぬ行為を進められ恐怖でいっぱいのはずなのに何故か安心感を覚えた。
「なんで･･･、なんで俺なんですか･･･？」
絞り出した声と言葉。
伸之くんは俺の身体を転がして、お互いに顔が見える形となる。
目と目が合った瞬間、顔に熱が集中して熱くなる。
「･･･一目惚れ、かな」
「･･･はい？」
伸之くんはふ、と吹き出したあと、困ったような笑顔を浮かべた。
一目惚れ、なんて言葉は久しぶりに聞いた気がする。
「最初はびっくりしたー。だってお前噴水の中に居るんだもん」
「あ、あの時は･･･ありがとうございました･･･」
真剣な表情になる。
この顔は、伸之くんがタイになるよう俺に跪いてこちらを見上げたときと同じだった。
嘘、ではない。
全て伸之くんの本音で、俺を求めたのも伸之くんのも本能だったと理解した。
「あの時から、何かと壱馬のこと気になってさ、日に日に"守りたい"て思いが強くなってた。
同時に好き、も」
その言葉だけ、丁寧に、そっと呟いた。
好き、という言葉を紡いだ伸之くんの頬に赤みがさしたことに気がつく。
それを確認した瞬間、自身の胸がきゅ、と締め付けられる感じがした。
「壱馬。俺は守りたい、も好き、もお前に向ける感情は同じだ」
「のぶ、ゆきくん･･･」
そっと頭を伸之くんの胸に押し付けられる。
トク、トク、と鼓動の音が、聞こえる。
その心地よいリズムに誘われるようにいつの間にか眠りに落ちていた。
意識が落ちる最後、額に柔らかな感触を感じ、それと共に「おやすみ」と伸之くんが囁いたのを聞いた。
鈴木伸之が壱馬のタイになった日、それは北人が俺を宣言した日と同じである。
この日の出来事が、翌日北人との関係を複雑にすることを安らかに眠る壱馬は知る由もない。
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AiRI(プロフ) - 体調には気おつけて頑張ってくださいね！更新楽しみにしています！ (2020年8月4日 21時) (
レス) id: 5b08b0da4b (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 頑張ってください\(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) (2020年8月1日 23時) (レス) id: 73c5786c3d (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - この小説大好きなので、更新待ってます！ (2020年6月30日 7時) (レス) id: 73c5786c3d (このIDを非表示/違反報告)
AiRI(プロフ) - 更新楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2020年6月30日 7時) (レス) id: 5b08b0da4b (このIDを非表示/違反報告)
ライム(プロフ) - 勝手にすみません。もうお話更新なさらないんですか？ (2020年6月5日 17時) (レス) id: 73c5786c3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あいんしゅ | 作成日時：2020年3月1日 15時
