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2 代償 ページ3

「っ…………は……?

そん…なの…」

何を言ってるんだ。

何を言ってるんだ!!!

この目の前の悪魔は!

声がなくなったら、
声が届けられない。
話せない。
名前も呼べない。
気づいてさえもらえないかもしれない。

______兄が、救えない!

「どうしたの?何か不都合でもあった?」

そんな私の事など露知らず

飄々とした顔で尋ねてくる。

「そんなの!!あるに決まってる!!

声が無くちゃ話せない!意思も何も伝えられない!!!

それじゃあ力を手に入れた意味がないじゃない!!!」

「はぁ………そんなこと僕は知らない。

願いはもう叶えたんだ。

代償は四の五言わず払ってもらわないと…

ね。」

悪魔がニヤリと笑う。

「嫌だ!!!そんなの納得できるわけがな…

…ッ!………!!!!」

反論しようとした。

だが、虚しくもその言葉は途中で止まった。

止められた。

「〜ッ!!!!!!」

声が、出せない。

話そうとして口を開けても、出るのは声ではなく息の音だけ。

「………これで、契約終了だ。」

契約終了?

あまりにも自分勝手ではないか。

願いを聞いて叶えて、そこまではいい。

けれどその後は悪魔の勝手だなんて。契約者の言葉は無視するなんて。

そんなの、納得できない。

「願いを叶えてあげたんだからこれ位当然。

じゃ、僕の用は済んだから。さようなら。」

「(ちょっとまってよ!)」

消えようとするから咄嗟に悪魔の腕を掴んだ。

「もー鬱陶しいなあ。」

振り払おうとしたようだが、かんたんにはできない。

なぜなら、私の力は先程の契約で強くなっている。

悪魔の力に魔神の力は敵わないかもしれないけれど、力一杯掴んでる。

そう簡単にいかない…はず。

「仕方ないなあ。

声が出ないなら、代わりに喋る人がいればいい。

その喋る人に、僕がなってあげるよ。」

何を言ってるの。

急に。わけがわからない。

「良い案でしょ?

僕も少し、興味が出てきたんだ。

だから君の手伝いをしてあげる。」

…何を考えてるんだろうか。

全くわからない。

もしかしたら、何か企んでいるのかと疑わしくなる。

「ねえ、良いでしょ?

僕が君の力になれば、きっといい戦力になる。君も声を得られるも同然。

僕は君の行く末を見れる。」

「………コクリ」

頷いた。

何をどれだけ考えようと、声を失った今、こうするしかないのだ。

仕方ない、そう、仕方のないこと…だから。

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作者名:てれすと | 作成日時:2018年1月6日 21時

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