とある研究員の資料 2【実況者】 (ページ28)

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仕方が無いことだと思うのだ。むしろ、あれだけのことをされても受け入れるような、天使のような人物が居たら逆に怖い。というか、反対に精神が狂っているだろう。

「私を逃がすまいとする態度は、褒められるところではあるのかもしれないね。その執念だけは、ね」
「すごい嫌味だな、A先生。でも、俺は言ってるだろ。先生が心配で心配で、仕方無いだけだって」
「心配、か。私はそこまで幼い子供なのか？誰かの庇護下に居なければいけないほどの」

私の足には白い布が巻き付いていた。それがどこに続いているのか、と考えるまでもなく、それはひとらんらんの服に繋がっていた。なんとも不思議な服だ。なんとも、不思議な存在たちだ。

「捕まえとかねぇとすぐに逃げ出す先生が悪いんだろ」
「私が悪い？そんな訳ないだろ。私は自由を得たいんだよ。だから離せ」
「破壊活動」

凛とした声が鼓膜を刺激した。白眼が目の前で細められる。

「A先生のせいでしても良いのなら、離しますが」
「私のせいで、だって？実行犯は君たちだというのに」
「原因は先生ですよ？」

彼らはなんとしても私を捕らえておきたいらしい。それも私には全くわからない理由で。あぁ、本当に下らない。本当に、愚かだ。

「なら、それをしたのは私のせいだと誰に言うんだい？周囲の人間？生き残った人間？はっ、言ったところで何になる。第一、私はそれが私のせいだとは絶対に思わない。何を言われてもされても、だ。君たちに得など無いと思うが？」

無理矢理足を動かすと、ブチブチと白い布が悲鳴を上げる。彼らは黙り込むのみ。だが、それはただ黙り込んでいるというより、何かを待っているかのようだった。それに気がついたのは、私が布を引き千切り終わった頃。

「先生が言う通り、得なんてあらへんな」

不意にコネシマが私の問いを返した。