とある研究員の資料 2【実況者】 (ページ22)

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私はほとほと呆れた。

「その言葉ですら縛っていることに無自覚とは。君たちの言動には、やはり驚かされざるを得ないよ」

やれやれ、とわざとらしく首を振る。

「全く、相手にすること自体が疲れる」
「A先生が抵抗するからだろ」

革靴の音が響く。

「私が抵抗しないとでも？スマイル」
「抵抗する理由がわからねぇんだよ」
「そりゃあ、誰が他人の体液を積極的に飲みたいんだい？」

彼の声色は苛立っている。彼の眉間にしわが寄る。

「誰だって、自由を得られるなら自由を得たいだろう？だから嫌だと言っているんだ。縛られている、と」
「その自由に俺らが介入したっていいだろ」

あからさまに嫌そうな顔を彼はする。

「介入したら奪う、までがテンプレでセオリーじゃないか」
「それは･････」
「ほら、否定できない」

言葉を奪ってまで、私は否定を声にする必要があった。そうでもしなければ。

「先生が受け入れないから奪うことになるんだろ？」

ほら。すぐに詭弁を吐かれるんだ。

「･････はぁ。誰が不幸を甘んじて受け入れるんだ？」
「そう感じるようにしなけりゃいいだけだろ？」
「はっ、都合の良い主張だな」

シャークんは隈の残る目をすがめながら言う。その表情はどこか恍惚としている。忌々しいったらありゃしない。

「でも先生、詭弁が好きなんだろ？」
「好きなんじゃない。それを言う他無いってだけだ」

顔をしかめながら言うも、彼らは決して理解などしない。都合の良い自己解釈はやめてほしいものだ。

「先生は本当に、可哀想でカワイソウだね」