とある研究員の資料 2【実況者】 (ページ20)

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▶︎六色の尾ページ20

あの五人と鬼ごっこ紛いなことをするだけでも疲れる。だというのに、頭を使わせるのは流石に酷だと思うのだ。

「この短い間に謎を作るなんて、その点は称賛に値するよ」
「うーん、褒められてる気が一切しないなぁ」
「そりゃ褒めてないからな」
「A先生、相変わらず酷いね」

彼、Nakamuはクスクスと笑う。頭の良い彼ならば、これが皮肉ということもわかっているはずだ。

「それで、謎は解けた？」
「君の謎は難しすぎるんだよ」

半ばキレ気味に答える。

「そりゃあねぇ、先生に頭を悩ませてほしくて考えたんだから」
「じゃあ、私が諦めたら時間稼ぎの意味も無くなるな」

彼の動きがピシリと固まる。

「････流石だね、A先生」
「伊達に君たちの相手をしていない」

ツンとしながら渡された紙を彼に突き返す。

「こんなことをしてる暇は無いんだよ」

踵を返す。途端に、私の体は後ろに引っ張られる。

「僕、先生が居なくなったらおかしくなっちゃうんだけどぉ」
「まさか。狂う訳ないだろ」

頬を膨らませる様子だけ見れば、可愛らしいのだろう。

「先生。･･････先生は、自分が普通と思ってる？」
「は･････？」

Broooockの言葉に眉をしかめる。彼が嘘をついている様子は無い。楽しんでいるようなのが、やはり嫌いだ。

「私は普通だ。君たちに比べればな」
「僕らに比べればそうかもしれないね。でもさ、普通なんてわからないもの、なんで先生はわかるの？」

彼はどこまでも引き下がらない。さっさと諦めれば良いというのに。