とある研究員の資料 2【実況者】 (ページ15)

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「だが、君がしないという保証も無い。いわば自己防衛だよ」
「え〜、あんなに一緒に過ごしとったのにまだ信用されてへんの？」

当たり前だ、という言葉を飲み込んで、逃げようとする足をなんとか止める。

「信用？私と君の間にか？」

彼の言葉に嫌気が差して眉間にしわが寄る。

「はっ、馬鹿らしい。私は君のことをただの一度も信用したことは無い。特に、私の首を絞めるような君にはな」

彼の額に青筋が立つ。それでも彼は怒りを示さなかった。今まで見守るように黙っていた緑色が金豚きょーの袖を引っ張ったからだ。

「････君は、コレを止めるのか」
「別ﾆ。先生ｶﾞ壊ﾚﾙﾉｶﾞ嫌ﾀﾞｯﾀｶﾗ」
「私を捕まえることが目的なのに、壊れることは嫌なのか」
「先生、勘違ｲｼﾃﾙ」

彼の伏し目がちの真緑の瞳が、不満そうにじっとりと私を見る。

「俺ﾉ手ﾃﾞ壊ﾚﾅｲ先生はｲﾔ」
「･････なんとも、悪趣味だねぇ」

それ以外の言葉が思いつかなかった。確かに自らの手で実行しないと実感が湧かない、ということはよくある。だがこの場合、それは異常の類に入るのだ。

「あれぇ？A先生、ここに居たの？」

柔らかな、まるで大海を揺蕩うような声が聞こえる。振り向くとそこに居たのは、予想通りコンタミだった。

「見つけたなら連絡してって言ったじゃあん」
「あ〜悪い。忘れとったわ」
「らっだぁはいいにしろ、俺もレウさんも位置特定なんてできないんだから」

まるで怒っている口調ではないコンタミの言葉は、この空間ではやはり異常だ。緊迫しているというのに、なんだ。この余裕は。

「･････いや逆か。余裕だから怒らないのか」
「せんせ〜！やっと見つけたよぉ」

ぱっとこちらに腕を広げて大袈裟なまでに喜びを表現する。