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少し歩くと、突然、隣で「ボウッ」と音を立てた。
それは、あついあつい炎だった。
何かを燃やしているわけでもなく、炎がめらめらとあがり、二酸化炭素を含んだ煙をもくもくとさせているだけ。
ただあたたかいだけ、ただ綺麗なだけ。
...そんなことはなかった。
「うっ...何これ」
突然、気持ち悪くなってきた。
身体中がぞわぞわと不思議な感覚になり、何故かその炎には近づきたくなかった。
何かを、恐れていた。
しかし、炎は迫ってくる。
どう振り払おうにも、不思議と追いかけてくる。
俺は必死に逃げた。何故か、逃げた。
歩き疲れているのに、走った。
「もっ、もうだめ...」
そう思い、転びそうになった瞬間、「キーバタン!」と扉の閉まるような音がした。
すると、後ろには炎はなく、ただ何かが燃えたあとだけが残っていた。
俺は、それに少し近づき、周りを触ってみると、そこには確かに扉があった。
何か閉じ込めた、扉があった。
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