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2.昨日もずっと暇で1日満喫してました ページ2

確か、屋上へ行く階段は西棟であっていたはず…

灰色の階段をのぼり、早く音の主を確かめたいという期待を胸に、重たい扉を開け放った。

ーーーーー

夕暮れの赤い空、吹き抜ける夏風、それらを纏うような黒髪のギターを弾く彼は、

とても綺麗だった。

聴いて確信したが、これは即興曲だ。

切ない旋律は彼の心、泣きだしそうな音符は彼の想い。

彼は、この夕焼けに飲み込まれてしまいそうだった。

「死んじゃダメだよ」

僕は彼に近付きながら微笑んだ。

彼は一瞬驚いたような顔をして僕を見たが、
その瞳はすぐに冷静さを取り戻した。

彼はギターを弾くのをやめて、僕へ向き直した。

「…死なねーよ。てかあんた誰?見ない顔だけど。」

黒いセーターを着こなすスラっとスタイルのいい彼は、まるで少女漫画に出てきそうな程の美貌だった。

「僕は君の音に引き寄せられた、1年A組の桃瀬彩人(ももせ あやと)。今日転校してきたんだ。」

「ふーん…、俺は1年B組、時雨御影(しぐれ みかげ)。ギター…好きなの?」

彼はその冷たそうな見た目に反して、意外にも優しい口調だった。これはモテるだろうなぁ…!

「うんっ、音楽と色が好きなんだ!
帰ろうとしたら君の死にたいです、っていう音が聴こえてきたもんでね。」

「別に…、ちょっと親と揉めてるだけだよ。」

僕は時雨御影の両手を掴んだ。

「僕とアンサンブルしよう。僕は君の音が欲しい。」

「は?急に何…」

昔から、欲しいものには手を伸ばすタイプだった。

たとえそれが届かないものでも、努力して意地でも掴んできた。

「メリットは、君に僕の音をあげる。一生忘れられない桃色の音。あと、君の左手首の傷に意味をあげる。あって良かったって思わせてやるよ。
デメリットは、…癖になるよ?僕の音楽は。
一緒に歌お?……みーくん♪」

彼は黒だ。僕の感じた色。それを離すわけにはいかない。

「急に何言ってんだよ、、?」

「やるの、やらないの、どっち?」

ふわりと青い風が、僕らを包んだ。

「突拍子すぎて何が何だかわかんねーけど…、要するに、一緒に音楽やろうって誘いか?」

「誘いじゃないよ?決定事項。
時雨御影は、桃瀬彩人と歌い手活動するんだよ。言い忘れたけど、君歌い手とか好きそうだから、僕の歌声聴いたら僕が誰かわかるよね?」

「…、あんた、歌い手のshikiだよな、?」

「そうだよ。で、時雨御影に拒否権ないから。
これからよろしくね?」

桃色と黒色は、化学反応を起こす。

3.別に君のことなんて考えてなんかいないさ→←1.今日はこっちの地方はどしゃ降りの晴天でした



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作者名:あやぺちーの | 作成日時:2019年4月19日 0時

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