1.今日はこっちの地方はどしゃ降りの晴天でした ページ1
転校初日、その日はどしゃ降りの晴天だった。
歩き慣れない通学路を歩きながら僕は憧れの歌い手さんの曲を聴いて、目先に見えた、今日から通う『桜ヶ丘第一高校』に向かって走り出した。
「雨の色は、青、白、水色っ、この世界は色んな色彩に包まれてる！新しい高校の色は〜…、」
昔から色が大好きだった。なぜなら、色はイメージに変わり、イメージは音に変わり、人の心に届くから。
色は、音楽だから。歌だから。
「…黒と、黄色？」
_____色は、運命だから。
ーーーーー
in1ｰA
簡単な自己紹介を済ませ、転校生には付き物とも言える休憩時間の質問タイム。
「ねえねえ桃瀬くん！部活とかどこ入るの？前の学校では何してたの？」
「桃瀬くんって男子なのにちっちゃくてかわいい〜！ピンクいっぱいだね！似合う！」
「桃瀬彩人くんだよね…、彩ちゃんって呼んでもいいかな！？」
そして当然の女子だけだ。
五月蝿いな、僕は確かに見た目はちっちゃいし可愛い系だし、自己紹介だって完璧なキャラ作りをして見せたさ。
けど生憎僕の本性はそんなに可愛くないんだよ、ばーか！
「部活はね〜、中学から吹奏楽だよっ！フルート！けどここの学校は色んな部活あるみたいだから、
ちょっと迷ってるかな〜、今度色々紹介してよ！」
「ピンク似合う？嬉しーっ、ありがとっ！
苗字にも桃色の桃入ってるし、ちょっと意識してる！笑」
「彩ちゃん呼びかもーんっ！
てか前の学校でも呼ばれてたやつ〜！笑」
ま、クラスカースト上位守るためにぶりっ子するんだけどねぇ！！
僕って天才的〜、この現代世界、男子よりも女子に好かれた方が色々得なんだよ。男友達なんて必要ないね！
ーーーーー
校門を出て、ふぅ、とため息をついた。
女子と話し込んでたらもうこんな時間か。
さすが馬鹿どもだな、語彙力の欠けらも無い。
何を言っても、やばーい！まじ！？すごー！！
だけ。あの子達はホモ・サピエンスから進化してないのかなぁ？
「まったく……ま、クラスでも良い地位築けそうだし、いっか！かーえろっと。電車何時だろ…」
「〜♪」
…ん？今、屋上らへんから何か…、ギターの音？
「誰かが弾いてるのかな……？」
それはとても優雅な旋律で、今まで味わったことの無いほどの切ないメロディーだった。
「聴いたことない曲…、もしかしてオリジナル？
……………行ってみるしかないねっ！」
僕は親にちょっと帰り遅くなる！と連絡を入れ、
くるりと学校に向き直り、
屋上へ走った。
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作者名：あやぺちーの | 作成日時：2019年4月19日 0時
