君を、想ふ -北藤-

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〜宏光Ｓｉｄｅ〜


壁一面に映る振り付けを必死に覚える姫。


今は、キング。


覚える時はキングになるんだよな。


文句一つ言わず、ただ振り付けを選曲順に通しでやっていく。


休まずに、集中力がある間に、淡々と進めていく。


躓いたのは…『Ａ.Ｄ.Ｄ.Ｉ.Ｃ.Ｔ』と…『Kiss魂』苦笑


やっぱ、躓くんだな(笑)


手と足のバラバラな動きに加えてフォーメーションと歌詞。


複雑な動きの振りに、キングが顔を顰めて止まった。


「腰、痛い」


それは、キングじゃなくて姫のサイン。


キングは口に出さないし言葉にしない。


コルセットするなり湿布を貼るなりしてやり遂げる。


「ちょっと休憩しよ」


千賀の声掛けに、肩を揺らして呼吸するキングに声をかける。


「大丈夫か？」


「……ん。だいじょぶ。ちょっと休めば平気」


フラフラになりながら壁際に行って、座り込む。


「覚えてないのに…体が勝手に動く曲もあれば、ワンテンポズレて体が動いたり…自分に腹立つ」


「……苦笑」


そうだな。


勝手に動く曲は体に振り付けが染みついてる証拠。


体がついて行かない曲は、覚える前に記憶を失ったから。


最新のアルバム曲の振り付けはまだこれからだった。


だから、俺達もまだ体に馴染んでないし、染みついてない。


「大丈夫だよ。間違えてもフォローするよ…宮田が」


「なんで、俺〜っ？？」


俺の言葉に反応した宮田。


…聞いてたのか。


お前は玉に集中してると思ってたのに。


ふと、メンバーに視線を向けると。


皆が、姫を見てる。


心配なんだろう。


「大丈夫。やる。成功させる。皆と踊るのも歌うのも、楽しいから」


キングと姫の決意は固い。


「おぅ。一緒に頑張ろうな」


ライブ、始まる前に何か、お揃いの物、プレゼントすっかな。

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