君を、想ふ -北藤-

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〜太輔Ｓｉｄｅ〜

記憶がない俺に、優しい北山。

アイドルとして活動してることや、ライブツアーが迫っていることを告げられて。

頑張って、覚えることを決意。

ＤＶＤはＣＤを聞いて、必死に覚える。

北山が仕事に行ってる間もずっと、ソファーから動かずに、ＴＶ画面を凝視。

…難しい。

聞いたことがあるようなないような…。

北山が言った。

今回は新曲も含まれてるし、アルバム曲もあるから、最後の２日間はメンバーと一緒にやろう…と。

だから、北山の足を引っ張らないように。

メンバーに迷惑かけないように。

ちゃんとしなきゃ。

昔の曲や最新のシングル曲、ソロ曲、北山との曲。

たくさんある。

「…ああぁ〜っっ」

イライラして、声を出してしまう。

もどかしさに。

自分の自分に、むかつく。



どうして忘れたの？

どうして迷惑ばっかかけるの？

どうして、ちゃんと覚えられないの？

どうして…どうして。


涙が込み上げる。

しっかりしなきゃ。

１週間もある、って言ったけど…。

もう４日目。

渡されたライブ曲のタイトルを見て、まだ覚えられない曲を流して、映像を見て、メンバーとの振り
付け、立ち位置を頭に叩き込む。


どうして…？


仲間でライバルで…家族なのに。


どうして、メンバーの顔を見ても、何も感じないんだろう。


「ただいま〜」

その声に我に返ると、もう外は真っ暗。

時刻は１９時。

４日目が、もう終わる。


どうしよう…。


「藤ヶ谷？」

すぐそばで声がして顔を上げる。



どうして…北山といると、こんなにも安心できるんだろう。



そして…ド○○キするんだろう。



何も思い出せないのに…。



どうして、心が惹かれるんだろう。

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