君を、想ふ -北藤-

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〜太輔Ｓｉｄｅ〜

「なんでっ!?」

明日は、２人の休みを合わせて出掛けるつもりだったのに。

帰ってきて早々に、ひろに仕事が入ったと言われた。

「だから、仕事が入ったんだよ」

「じゃあ、一緒に行けないってこと!?」

「悪い」

悪い!?

ひろの言い方にもイラっとした。

「ほんとは一緒に行きたくなかったんでしょっ!?」

「何言ってんだよ」

感情を爆発させる俺と違って、冷静なひろ。

「せっかく旅館も予約したのにっ」

「それは、本当に悪いと思ってるよ」

ひろが望んだわけじゃない。

ちゃんと否定して悪いと謝ってるひろを責める俺。

悔しくて、どうにもできないこの感情をどこにぶつける？

この時の俺は…ひろにぶつけていた。

俺が何を言っても、ひろは黙って聞いてくれた。

「俺と行くの面倒くさくなって、仕事入れたんでしょっ」

「面倒くさいなんて思ったこと、一度だってねぇよ」

「それとも、仕事じゃなくて他の人と行くの!?」

「誰とも行かねぇよ。行くなら、姫と行く」

言葉には、ひろの愛がたくさん溢れてたのに…。

俺は、気づかずに酷いことをたくさん言った。

「行かないでっ！」

「無理言うな」

「一緒に旅行に行こうよっ」

「わがまま言うな」

わがまま…？

一緒に旅行に行きたいって思うことがわがままなの？

「明日っ、わたと行ってくるっ」

「なんで、横尾さんなんだよ(#^ω^)」

「予約取り消したくないし、ひろは仕事なんだから、誰と行こうと関係ないでしょっ」

ずっと前から楽しみにしてたのに。

「……勝手にしろ。もう寝る」

そう言って、寝室に行ってしまうひろ。

……むぅ。

行き場のない感情を地団太を踏んでやり過ごす。

仕事があるのは嬉しい事。

でも…でも、明日じゃなくたっていいじゃんっ！

前から決めてたのにっ！

休みを合わせて旅行に行くってっ！

寝室に行かずに、自室で一夜を過ごした。


コンコン。

ドアをノックする音で目が覚めた。

「…姫？仕事、行ってくる」

「……(._.)」

「…横尾さんと、俺の分まで楽しんで来い」

…可愛くないたいぴ。

昨日の事も謝れず。

素直になれず。

「いってらっしゃい」を言わなかった。

見送りもせずに、ひろを一人で行かせてしまった。

ひろのせいじゃないのに。

…予約は、キャンセルしよう。




俺の罪…それは、ひろにわがままを言ったこと。



俺の罰…それは、ひろを傷つけてしまったこと。




たくさん傷つけたから…だから、たいぴはひろを忘れたの？

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