甘い血を吸わせて -藤北-

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「今まで、たくさん辛い思いしてきたんだね」

「……っ、うんっ」

「でも…今日まで生きてきたのはきっと、俺に出会うためだよ」

「たい…に？」

「俺もずっと、ずっと独りで生きてきたんだ。血を吸うと相手の記憶が消えて…どの時代にも、俺の

存在は、刻まれなかったから。誰の心にも残れなかったから」

その…泣きそうな顔を、笑顔にしたくてたいの頬を撫で返す。

「俺の中には、いるよ。血を吸われても、ちゃんと覚えてる。刻まれてるから、大丈夫。もう、一人

じゃない。これからは…ずっと一緒だよ」

「ひろ…」

「…何？」

「薬だけど…ちょっと飲むのやめない？」

「…え？」

「どんな匂いか、嗅いでみたい(￣ー￣)ﾆﾔﾘ」

「そんな…っ、ダメだよっ」

「どうして？」

「…それは…っ、薬の抑制が効かなくなると…皆っ」

「皆が、どうしたの？」

「…乱暴になるっ、痛いことされる…っ」

自分の体を抱きしめる。

「痛い…怖いっ」

「俺を、今まで出会ったクソ人間と一緒にしないで」

「…た、い」

「俺は人間じゃなくてヴァンパイアだし、狂ったりしないよ。凶暴になったりしないよ」

ベッドに押し倒される。

「近い距離。

たいが、首を傾けて近づいてきた。

口を開けたひろの歯は…鋭く尖ってて痛そう(´;ω;｀)

「やだっ」

「…接吻するの、嫌？」

せ、接吻っていつの時代の言葉!?

「接吻じゃなくてキス…嫌なんじゃなくて、歯」

「ん？」

「血を吸う時には出していいけど…キスする時は片付けて。歯が当たるから」

そう言うと、シュンッて消えて、人間と同じ歯になった。

「牙片付けたから、そのキス？していい？」

「…んんっ」

柔らかい唇を押し付けられる。


ﾁｭｯ、ﾁｭｯ。


音を立てて、唇を吸われる。

「ﾁｭ…ん…っ、口…開けて…ﾁｭｯ…」

舌で、唇をノックされた。

「ん…た、いっ」

「何？」

胸を押し返して、たいを見ると。

瞳が…ピンク。綺麗な…桜色。

「痛いの…嫌だから…や、優しくして？」

お願いする。

「気持ちいいことしかしないから、口開けて」

たいの舌を受け入れるために口を開けると…奥にある舌が見つかった。

「舌、出して」

怖いけど…でも、たいの余裕ない顔に、ちょっとドキドキする。

だって…。

「俺に、興奮してくれてる？」

「興奮しかしないｗ」

「…俺の舌、食べて？」

舌を出すと、スッと目を細めるたい。

「美味しそうだね…いただきます(笑)」




ギラついた目をしたヴァンパイアに…舌を食べられた(*ﾉωﾉ)

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