ボーダーライン -北藤-

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巽さんにメールしよう。

あ、抱きしめて発言を怒るんじゃなくて、そばにいてくれたお礼に。

「姫。巽さんにメール送っていいか？」

首を振るだけの仕草。

【 巽さん。

　 姫のそばにいてくれてありがとうございました。
　
　 ゆっくり休んで下さいね。 北山 】

返事はすぐに来たｗ

【 ありがとうございます。藤ヶ谷さんが…声を出すのを怖がっています。

　 北山さんの愛で癒してあげてください＜(_ _)＞ 巽 】

怖がってる？

「…姫。声、出したくないのか？」

頷いて、俺の手を握ってくる。

差し出してきたスマホの画面は…ネットの書き込み。

見たのか…。

スマホの画面を消して、姫に向き合った。

「姫が声出ないと、皆が心配するぞ」

俺の手からスマホを取って、メールの画面で文字を打ち込まれた。

『誰も、俺の声なんて聞いてないし、興味ない。本当のこと言っても、誰にも分かってもらえないん

じゃ、声が出ても出なくても同じ』

「…寂しい事、言うなよ」

姫と目を合わせる。

「声が出ても出なくても同じだなんて…そんなことあるわけないだろ」

「………(._.)」

「姫の声が好きだって、もっと聞きたいって思ってくれてるファンがいるのに、声出さねぇの？何な

ら、お前の声が聞きたいファンの第一号は俺だからな」

文字を打とうとして…手が止まる。

「ひろの…ファンの子にっ、嫌われた…っ」

やっぱ、ネット見たのか…(´;ω;｀)

「俺…ひろのファンに嫌われちゃった。声もウザイって言われたし…」

「姫〜っ」

腕を回して、姫を抱きしめる。

「世の中にはいろんな人がいる。皆がみんな、姫の声に興味があるわけじゃない。もちろん、俺の声

も嫌いって人もいる」

「そんなことないっ！ひろの声は綺麗だもんっ！ドキドキしてっ、ずっと聞いていたい声だもんっ」

「俺だってそうだよ」

「…え」

「俺だって姫の声にドキドキして、ずっと聞いていたい。同じ気持ちなら俺の気持ちが分かるな？」

「…でも」

「好き嫌いがあるから人間なんだ。全員に好かれようなんて思う方が無理なの。嫌われたなら、仕方

ない。お前の声を好きだって言ってくれるファンの為に頑張ろうぜ。言いたい奴には言わせとけよ。

真実は、俺だけが知ってればいい…そうだろ？」

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