声を失った姫 -北藤- (ページ16)

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次は取材だ。楽屋で待機して、一人一人別室に呼ばれる。

千賀、玉、宮田、横尾さん、ニカ、俺、たいの順番にしてもらった。

今回のテーマは『３日間の休みをもらったら、メンバーとどこに行くか？』

それぞれ皆、言ってる場所はバラバラなんだろうな。

取材から戻って来たメンバーに聞いていく。

ニカはテーマパーク、千賀は岩盤浴、宮田は秋葉原。何でだよっ！

玉はゆったりできる公園で散歩。３日間だぞ！？３日もメンバーと公園で遊ぶのか！？

っていうか、何して遊ぶんだよ！！

横尾さんは寺巡り。

て、寺巡りっ！？てっきりレストランとか言うと思ったのに。

聞いたら、心を清めたいんだって。癒されたいのかな～。

「たいは、メンバーとどこ行きたい？」

取材を待ってる間に、たいに聞いた。

あ、何か感じた…。

「同時に言ってみるか？」

たいがノートに答えを書く。

「せ～の……温泉っ」

たいが見せたノートにも温泉って書いてあった。

さすが、俺のシンメだ。

たいが嬉しそうに笑う。

現実問題として、メンバーで休みを取れるなんてなかなか無い。

だから、想像して思う間だけでも、たいが笑ってくれればいい。

「いつか、一日でもいいから皆と一緒に行けたらいいな」

何度も頷くたいを見て、俺も嬉しくなる。

俺が呼ばれて横尾さんに視線を送る。

たいを頼む。そう訴えて横尾さんが頷くのを確認して楽屋を出た。

やっぱ、俺のシンメはたいだけだな～。

この後、絶望のどん底に突き落とされるとも知らず…俺は浮かれていた。

たいの心が壊れる瞬間を…目の当たりにすることになる。