風邪 -しんみな- (ページ9)

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「辛かっただろ」

「湊さん…」

「もう二度と、お前を傷つけない。慎こそ我慢とか後回しにしないで、俺に言ってこい。気まず

くなるのも喧嘩するのもすれ違うのも嫌だ。この先も死ぬまでずっと、お前といたいから。話し

て支え合って生きていこう」

「嬉しいですっ！湊さんっ」

俺も湊さんを抱きしめ返す。

「じいちゃんになっても、ずっと一緒にいような。慎」

「はい」

距離を置いて、見つめ合う。

湊さんとずっと目が合ってる。

と思ったら、唇を奪われていた。

「湊さんっ、ダメ…っ」

「俺にうつせって。一回風邪ひいてっから免疫あるし」

「そうじゃなくて…っ、んっ」

熱で体が重い。

指一本、動かすのもだるい。

突き放せない。

「ﾁｭ…んんっ…慎…っ、しんっ」

そんな声で、俺を呼ばないで。

気持ちいい。

口をこじ開けて、舌が入ってくる。

舌はダメ。

そう思うのに。

いつも、俺がしたいってせがむばかりで。

湊さんからしてもらえるのはすごく貴重で。

「慎っ…好きだ…っ」

キスしながらの告白。

「俺も…っ、湊さんが…っ、大、好き…んぅっ」

湊さんの温もりに交わすキスの熱さに。

俺の心も体も思考も…溶けそう。

湊さんの言う通り。

キスしても、風邪ひかなかった。