優しさに包まれて… -北藤-

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「太輔、さっきぶつかった先輩と知り合いなの？」

わたに聞かれた。

そう…ひろは２個上の先輩だ。

「まだ知り合ってないよっ」

「まだ？ｗｗ」

そう…ひろに恋するのはたいぴが先。

だからかな…。

ひろの気持ちが冷めちゃったのは。

結婚相手を見つけるほど…。

たいぴは…ひろを夢中にさせることができなかった。

どこかで…気持ちがすれ違ったのかも。

「また見てる」

わたの言葉に振り向くと…柱の陰からたいぴを見てる。

名前は松田誠司。

たいぴが大学に入ってから、よく目が合う人。

「いい加減、ストーカーやめろって、俺が言おうか？」

「いいよ…相手にすると、怖いし」

これは過去の出来事。

やめてって言ったら…もっと近づいてきて。

でも…空手をやってるひろが撃退してくれた。

その時に…恋に落ちたの。

相手にしなければ、大丈夫。

たいぴが…ひろに恋することもない。

好きな気持ちを封印できる。

「さっきの先輩に頼んでみたら？」

「ダメっ！」

そんなのダメ。

絶対。

「空手部の主将で忙しいんだからっ」

「…俺よりは頼りになると思うよ？」

「わたがいいっ！」




ひろがそばにいたら…嬉しくて…苦しくて、きっと。



……泣いちゃうから。



２個上だし、学部も校舎も違うから会わないはずなのに…。



絶対、図書室とは縁がない顔してるのに！

勉強に集中したくて黙々と参考書とノートに視線とペンを走らせていると…。

前の席に座らずに、隣に座った人の気配に自然と顔を向けた。

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