優しさに包まれて… -北藤-

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説明すればよかった。

後悔しても遅い。

「ごめん…」

「太輔に謝れ」

「うん…分かってる」

「バラすと脅されても問題ないだろ？みつのご両親は付き合ってることを公認してるんだから」

「……それ、は」

「太輔に危害を加える…とでも言われた？」

「……っ、そういうこと」

俺だけならいい。

でも、太輔の名前を出されたら…。

「この女を遠ざければいいだけのことだ」

「…え？」

横尾さんの目が据わった。

「駒井渚…と言ったな」

「……は、い」

声が震えてる。

まぁ、そうだろうな。

だって、横尾さんの稼業は…。

「手を引け。２人に構うな」

ドスのきいた声で言われた。

「２人に近づくことは、俺を呼び出すということだ。やくざ稼業の俺を呼び出して…ただで済む

と思うなよ？」

「…す、すみません。こんなことになるなんて…っ」

「嘘つくな。あわよくば、太輔がこのまま…なんて思ってるだろ。顔に出てる」


横尾さんの指摘に、駒井が顔を触る。

そして…目線が斜め左方向に逸らす。

それも、嘘をつく時の無意識の行動。


「２度と、俺達の前に現れるな。今度近づいたら、コロす」

横尾さんの言葉に駒井が走って逃げて行った。

「ﾊｧ…何のために俺がいると思ってるんだ。こうなる前に、小さなことでもいいから俺を頼れ。

俺に守らせろ」

「……横尾さん、かっこいいね」

「俺は、頼りにならないか？」

「そうじゃないよ」

全然、頼りにしてる。

横尾さんがいなかったら、後押しがなかったら付き合ってなかったから。

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