LOVE BOX -北藤-

＊ ページ7

〜宏光Ｓｉｄｅ〜


高校に入ってから、俺の周りに集まる人、人、人…。


楽しいんだけど…。


気が抜けねぇっつーか。


休みたいｗｗ


静かな場所に行きたい。


そう思って、昼休み休憩にさっさと飯食って一人の時間作ろ。


フラ〜っと足を向けた先には大きな桜の木。


ここで昼寝でもすっかな。


と思ったら…先客。


男子だ。


すげぇ、真剣に本読んでる。


驚かさないようにそばに座る。


あぁ〜、風が気持ちいいぜ。


今度から、ここに来よ〜。


聞こえてくるのは風と鳥の鳴く声。


太陽の日差しもまぁまぁ差し込んできてちょうどいい。


ちょっと、寝よっかな。


首カックンして睡魔に身を委ねた。


ら〜…まさかの読書男子に身を委ねていたとは…。


ﾊﾟﾁｯ。


目を覚ますと、読書男子はいなくなっていた。


「起こしてくれてもいいのに」


なんて思いながら、教室に戻った。


読書男子…何年生だろう？


たくさんいる人の中の一人に聞いたら。


「２−Ｄの『藤ヶ谷』だろ」


藤ヶ谷っていうのか…読書男子の名前。


俺の事は…知らないよな。


クラス違うし、俺はずっと寝てるしｗｗ


それからの昼休みは飯食って、桜の木のとこに寝に行く。


これが、日課になっていた。


ある時。


柔らかい感触に意識が覚醒。


でも、目は開けてない。


柔らけぇ…もしかして、膝枕されてる？


ｻﾗｯ。


ほら、俺の額にかかった髪を指で払ってくれてるし。


「可愛い♪」


初めて聞いた声。


綺麗だな。


俺が今、目開けたら驚くかな？


いや、もっとこの時間を大事にしたいっていうか。


触れられていたいっていうか。


「もう時間だ…よいしょ」


起こさないように、俺の頭をそっと置いてくれる。


「またね…おちびさん」


お、おちびさん！？


確かに、身長は中学で止まりましたけど。


まぁ、名前知らないんだから、仕方ねぇか。


でも…おちびさんってｗｗ


今度、目開けて、自己紹介したい。


もっと声が聞きたい。


話がしたい。


耳に残る綺麗な美声。


今、離れたばかりなのに…もう、逢いたい。

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