LOVE BOX -北藤-

＊ ページ31

「いつも、俺の練習見に来てくれてる」

たいぴと一緒だ。

どうして、男性は女性と恋愛することが当たり前なんだろう。

どうして……なんで、男子が同じ男子を好きになったらダメなんだろう。

なんで……たいぴは一人なんだろう。

もうやだ。

聞きたくない。

トイレに行こ。

席を立ち、震える足に力を入れて教室を出た。

チャイムが鳴ったけど気にしない。


「…ﾊｧ…」


こうも女子が好きと言われると、へこむ。


なんで、たいぴは男なんだろう。

女子だったら、北山に好きになってもらえたかな？

トイレの個室に入って鍵をかけようとして…。


ﾊﾞﾝｯ！


閉めようとするドアを押さえられた。

何度も瞬きして確認。

目の前にいるのは…ずっと遠くから見てるだけの、片思いの人。

「………なん、で」

声が震える。

「まだ話してる途中だろ。勝手にいなくなるなよ」

「………どういう」

「この３年間。お前の視線に気づかないとでも思った？」

気づかれた。

いつも、見てたことを。

「……やだ」

「藤ヶ谷？」

名前を知ってることよりも。

たいぴを見てくれてることよりも。

話してることよりも……。

片思いの時間を奪われることが怖くて。

「ごめんなさい…見るのやめるから…だから」

せめて…。

「想うことだけは許して…っ」

卒業したらやめるから。

胸が苦しくても、心臓が痛くても。

「やめんなよ」

「………え？」

我に返って思った。



今…北山と話してる？

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