LOVE BOX -北藤-

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家に帰って外に出ればよかった。

帰ったら、出られないと想像できたから。

だから…メールで伝えた。

『会社の奴らと急に、飲みに行くことになった。夕飯は帰って食べるから、そのままにしといてく

れ。帰る時にまた、メールする』

食べるのは、帰ってから。

飲むだけ…そう決めて、同僚と小林と居酒屋に入った。

皆と笑ってるところを太輔に見られてたなんて…。

自分を傷つけて、命の火が消えようとしてることに気づかなかった。

帰るコールのメッセージを送った。

既読にならない。

なんで？

タクシーの運転手に頼んで急いでもらった。

「ただいまっ」

ドアを開けても、真っ暗。

どこの電気もついてない。

「太輔？」

静寂に包まれた家。

テーブルに置かれた手紙。

綺麗な字で書かれていた。

『ひろへ

今日、ひろが遅くなるって言うから、ＧＰＳで近くまで行ったよ。

笑ってたね。

久しぶりに見た…ひろの笑顔。

ひろの笑顔見たの…記憶を手繰り寄せなきゃいけないくらい、昔だった。

ずっと…ひろの笑顔見てなかった。

嬉しくて…でも、悲しかった。

たいぴは、いつからこうなったっけ？

ひろに怒鳴って、怒って、カッター見せて脅して。

いつから…こんな汚れたたいぴになったの？

いつから、ひろの行動を監視するようになったの？

自分に問いかけてみるけど…思い出せない。

それくらい…長い間、ひろを苦しめてた。

辛い思いさせて…傷つけてた。

ごめんね、ひろ。

たくさん傷つけて我儘言って。

もう、大丈夫だよ。

たいぴはいなくなるから。

もっと早くこうしてればよかった。

そしたら…ひろは幸せになれたのに。



まだ途中の手紙を握りしめて、家中を探した。

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