LOVE BOX -北藤-

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何もかもが可愛さでできてる。

「いただきま〜す」

ちゃんと手を合わせて食べるんだな。

ジッと見ていると、俺の視線に気づいたのか、手に持ってるパンを見て一言。

「…お昼、パンだけ？」

「おぅ」

「ちゃんとバランスいいご飯食べないとダメだよ」

「一人暮らしだと、作るの面倒くさいんだよ」

「…俺が、作ってこようか？」

「…ん？」

「一人分増えても大して変わらないし」

「…マジで？その可愛い弁当、俺も食えんの？」

すると…目の前にクマさんの卵焼きが。

「あ〜ん」


………ﾊﾟｸｯ。


差し出された卵焼きを食べた。

「…美味っ」

「ほんと？じゃあ、明日からお弁当作ってくるね。えっと……名前」

「ああ。『北山 宏光』」

「俺は、『藤ヶ谷 太輔』」

「いつも、どこで飯食ってんの？」

「あ…見つからないように、隠れて食べてる。屋上の隅っことか、体育倉庫の裏とか」

「すげぇ場所で食ってんなｗｗ」

「俺が、こんな可愛いお弁当食べてるの、想像できないでしょ。見つからないように、気を張って食

べてるの」

「弁当ってさ、楽しく食べるもんだろ」

「…うん。そうなんだけどね…」

「…女子の視線が気になんのか？」

核心を突いて聞いた。

「飯くらい、気ぃ抜いて食おうぜ〜ぇ」

空を仰いで呟く。

「俺が見てるから、安心して飯食ってろよ」

「…うんっ、ありがと♪」




無邪気な笑顔。



飯くらい、ゆっくり食べろ。



ベンチに肘をついて、藤ヶ谷を見つめた。

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