LOVE BOX -北藤-

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俺の気持ちを試すように、北山が保健室に来る。

家庭科で指先を切った小さな傷一つでも、保健室に来て。

「先生〜、ちょっと聞いてくれよ。ニカがさ〜」

北山を抱えてきた友人が二階堂くん。

「何？またからわかれたの？Ｗｗ」

「違う。さっきの体育の授業でさ、俺にボールよこさねぇの。そんで、そのままゴール決めやがって

〜っ」

なんて二階堂くんへの愚痴を聞かされる。

そんな毎日が１週間、１か月、３か月と過ぎていく。

と同時に、募る思い。

でも、ある日。

「太輔」

「…なっ…」

下の名前で呼ばれてドキッ。

「大人をからかわないでっ(/ω＼)」

「照れてる〜。可愛いな、太輔は」

「もうっ」

北山は、俺の事なんてなんとも思ってない。

勘違いしちゃダメ。

自分だけが特別なんて、思い違いもいいとこだ。

俺を名前で呼んで、休み時間ごとに保健室に来る。

「あの…北山？」

「何？」

いつの間にかタメ口になって。

「今日は、どこケガしたの？」

「ケガしなきゃ、ここに来たらダメか？」

逆に聞き返された。

真っ直ぐな視線。

いつだって…北山は目を逸らさない。

耐えられなくて…こっちが降参。

恥ずかしくなって、俯く。

「…そうじゃなくて…」

期待しちゃう。

俺に会いに来てくれてるって…。

そんな風に、勘違いしちゃう。

気持ちを知られる前に…。

言わなきゃ。

「北山。ここは保健室だよ。体調が悪いならともかく、ケガしてないなら、教室に戻って」

違う。

もっと一緒に居たい。

もっと話したい。

でも…それはダメ。

許されない。

「…俺、迷惑？」

違う。

ここに来てくれて、話せて嬉しい。

顔が見れて嬉しいのに。

「…先生は、北山構うほど暇じゃないの」

全然、暇だよ。

北山と一緒にいたいよ。

その為に、仕事頑張れるのに。

「……分かった。もう来ねぇよ」

北山が出て行った。

だって…しょうがないでしょ。

先生と生徒じゃ…恋愛はダメ。

まだまだ、北山にはこの先もずっと、未來の道があるんだから。

こんなところで…道を踏み外すわけにはいかない。

「ごめんね…っ」


北山を好きになって。


北山を想うと、ドキドキするの。


胸が苦しくなるの。



その日以来…本当に、北山は来なくなった。

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