お忍びでドン・ジュアン鑑賞します -北藤-

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〜宏光Ｓｉｄｅ〜

姫から帰るメールをもらって、玄関で待機。

「ただいま〜っ」

「…お、おかえり」

いつものキスとハグをやって、姫を迎える。

「どうしよ〜っっ」

何が？ｗ

帰ってきて早々、姫が泣きついてきた。

「どした？」

「ミュージカル舞台が決まった〜ぁ。正確には自分で決めたぁ」

自分で決めた？

じゃあ…。

「良かったじゃん。なんで、そんな泣きそうなの？」

「プレイボーイだって〜っ」

そこだけ切り取ると、とんでもなく誤解が生じる(笑)

「誰の舞台だって？」

「ドン・ジュアン〜」

ドン・ジュアン？

それって、モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』？

「宝塚のやつじゃん」

「そう、それ〜っ」

俺の膝に突っ伏して、項垂れる姫。

頭を撫でながら、ネットで検索。

舞台はスペイン。

主人公のドン・ジュアンは女と酒、快楽を求め続けて、数多くの女たちを魅了するセクシーな色男。

「キングをもっとえろくした感じか？ｗ」

「官能はやだ〜ぁ」

やだ〜って…苦笑

「藤ヶ谷は、舞台もだけどミュージカルも向いてると思うよ」

俺が藤ヶ谷呼びすると顔を上げた。

「よく通る歌声は、ミュージカルに向いてると思う」

「そんなぁ」

「嬉しくないの？」

「舞台はいいのっ！役がやだ〜っ！プレイボーイなんて嫌っ！！誘惑するのはひろだけだもんっ」

乙女な姫。

俺だけだと、嬉しいことを言ってくれる。

「でも…っ、演出家の人がっ、この役はたいぴがいいって言ってくれて…っ」

「だから、やってみようって思ってＯＫしたんだろ？」

「そうだけど〜…ぅぅっ」

可愛いな。

「頑張れ」

「……」

「ドン・ジュアンを、お前の色に染めろ」

「……プレイボーイ〜ぃ」



やっぱ、そこがネックか(笑)

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