芽生えた恋の華は…乱れ咲き -北藤-

ひたすらしゃぶられる指。 ページ10

隣に立たれるし、手元ガン見されるし…。

っていうか…。

「たいぴが指切る前提なの？」

「天然だからな」

は？

「天然は関係ないのっ」

絶対、切らないようにしないとっ！


ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ。


包丁で具材を切っていく。

「美味そうだな」

「まだご飯と炒めてもないのにｗ」

「早くっ！早く食わせろ〜っ」

おちびにチャーハンをせがまれてます苦笑

まだ具材を切ってる最中…。

………あ。

指、退かさなきゃ…って思う間もなく、切れ味の良い包丁が皮膚を裂いた。

「……っっ！！」

「ほらな。だから言ったのに」

手が伸びてきて…たいぴの指が、ひろの口の中に入って行った。


ﾁｭﾙ…ﾁｭﾊﾟ。


傷だけ舐めてくれればいいのに。

指先から根元まで吸われるんですけど。

「ん…っ、ちょ…っ、北山っ」

ジーッと見つめられる。

「なんで吸うのっ！指１本分舐めないでよっ！」

「……ﾁｭｳｳ」

無言でたいぴを見つめて、ひたすら吸い続けてる。

何が気に入らないの？

指切ったから？

そんなの、しゃぶる待機してたんだから、怒るとこじゃないでしょ。

「ちゅぱ……名前」

「は？」

名前？

「仕事じゃねぇんだから、名前で呼べよ」

……北山って呼んだから？

それが気に入らない？

「……ひろ？」

「……(￣ー￣)ﾆﾔﾘ」

口角を上げて笑うその顔…。

「その顔、えろいよ」

「姫ほどじゃないし。っつーか、本当に指切るなんて、俺を誘ってんの？」

「んなっ！Σ(￣□￣|||)そんなわけないでしょっ！」

「しゃぶられる気満々だったんだろ？」

「違うってばっ」

必死に否定しても、ひろはドヤ顔を見せつける。

「手当するぞ」

水で指を洗って、ソファーに連れて行かれて…。

「救急箱、どこ？」

「…電子レンジの下の引き出し」

救急箱を持ってきたひろに、傷口を消毒され、絆創膏を貼ってもらった。




心の中じゃ、自然に名前で呼べるのに…。




いざ、言葉で呼ぼうとすると、緊張しちゃうっ！

作者より→←カウンター越しに、すごい口説かれる。

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す