みっくんのお嫁さん -北藤-

あらすじ…太輔Ｓｉｄｅから始めます。 ページ1

〜太輔Ｓｉｄｅ〜

俺は、１５年前に、ある人に誘拐された。

３歳だった俺は、当時、未成年だった男に連れ去られた。

皮肉にも、俺の誕生日で。

優しかったその人が急に豹変して、ただ怖くて震えてた。

無事に家に帰れたけど、その次の年から、手紙が届くようになったんだ。

黒い封筒には、こう書かれていた。

『おたんじょうび、おめでとう。今日で４さいだね。このてがみのことをかぞくにはなしたら、いた

いことするから、いいこでいるんだよ。太ちゃんがボクのものになるまであと１４ねん』

その手紙は毎年誕生日の日にポストに入ってて、俺に忘れるなよ、ちゃんと見てるよってことを教え

るために、手紙を送ってきたんだ。

だんだん、年を重ねて…俺は１８歳になった。

カウントダウンの年数がゼロになった時、あの人が迎えに来たんだ。

不安と恐怖で押しつぶされそうになったけど、隣に住むひろの存在を支えにして生きてきた。

家族を支えに生きてきた。

出会いは引っ越しの挨拶をした時。ひろも俺も同じ３歳。

芽生えた小さな恋は、大人になると許されない恋だと知って、距離を置いた。

手紙と攫われる恐怖を誰にも言えず、１８歳を迎える。

１５年前は連れてかれたけど、１５年後の俺は自分の意志で付いて行った。

みっくんのお嫁さんになって、と小さい頃、ひろに言われた。

みっくんのお嫁さんになりたい、と小さい頃の俺は頷いた。

大人になった誘拐犯の少年と会った時、一生、この人に飼われて生きていくのかと思うと、何のため

に生まれてきたのか分からなくなった。

でもあの人に誘拐された時にされたキスと、体を這い回る手の感触は１５年経っても忘れられない。

ひろは約束通り…俺を守ってくれたんだ。助け出してくれたんだ。


そして…今は、ひろの部屋にいる。

ひろと交わしたキス。

ファースト・キスじゃないことがショックで泣くと、ひろが教えてくれた。

「たいのファースト・キスは、俺が子供の時にもらったよ」

って言われた。

ひろだけの秘密を、教えてくれた。

俺がお昼寝してる時に、したんだって。

「たい…お嫁においで？」

「うん…みっくんのお嫁さんになるっ」

そう、返事を返した。

…みっくんが嫌なんじゃないもん。→

ラッキーアイテム

革ベルト

おみくじ

おみくじ結果は「末凶」でした！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す