第3回 ページ4
「失礼しました。」
ガラガラ、と職員室の扉を閉めた。
生徒会担当の先生に、日誌を預け、生徒会室の鍵も預けた。
そして何故か待っている轟。
あぁ、誰かを待っていて、その為の時間潰しだったのか。
部活が無いのに帰っていない理由に納得して、彼にお先に失礼しますね、と伝えた。
自分の外靴に手を掛けると、待て、と肩を掴まれた。
「？どうかしましたか？」
まだ相手が来ないから、時間潰しの為の話し相手になって欲しいのかな？
この行動にもまた納得がいき、何時までですか？、と言葉を出す。
すると、轟は眉間に皺を寄せた。
「何言ってんだ、一緒に帰るのに何がお先に失礼します、だ。」
………んん？
一緒に帰るだなんて初耳だが？何言い出してるんだ？
「誰かを待っていたのでは無いのです？」
「あぁ、お前を待ってたんだ。」
えぇ……。
自分の推測は合っていたらしいが、どうやら一緒に私と帰るつもりらしい。
「いいですよ、1人で帰りますから。」
「ダメだ、一緒に帰るんだ。」
外だって暗いだろ、と言葉を続ける轟。
……ヒーロー志望として女に夜道を歩かせるわけにはいかない、てか。
ぱちんっ、と指を鳴らす。
「なっ、」
「これでいいですかね？」
轟に似た人に、姿を変えた。
ぐっ、と押し黙る轟。
「それでは。」
轟の手を外し、スタスタと歩き出す。
ぐっ、と轟が手を握りしめたのは知らなかったけども。
＊＊＊
スタスタ、と歩いて家に向かう。
………んー、なんか視線感じるなぁ。
ぴた、と止まれば、たっ、と音が響いた。
あー、誰かつけてきてたんだなぁ。
ふら、と近くの路地裏に入っていく。
「ねぇ、君……、！？」
ひっ、と声を上げて逃げていった。
右手だけ虎の腕に変身させ、思い切り下に振り落とせば、ちょうどのタイミングで来ていたのか、びびって尻尾を巻いた。
ぱちん、と左手を鳴らし、元の女の子の姿に戻る。
あ、間違えた。と思い、右手を鳴らして男の姿になる。
路地裏から出てすたすた、とまた帰路についた。
「はぁっ、凍夜っ！！」
がしり、と手首を掴まれる。
ばっ、と振り返りつつ掴まれた手首を解放した。
「…轟さん。」
「何で路地裏から出てきたんだ！？
変な男に連れられたのか！？」
随分と荒ぶった様子で私をまくしたてる。
あぁ、大丈夫よ、と返事をしようとした時。
「……A？」
「は、母上…。」
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作者名：儺菜生 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/85NatsuShi3/
作成日時：2017年5月7日 18時
