ゆうなぎ。の趣味が集まる短編集

＊（トリックver.の続き） ページ20

「ロレッタとトリックが結婚ね〜」







私は夜になっても、今日のことが忘れられず甲板にでていた






ポルト・パラディーゾの明かりを甲板の上で船に寄りかかり眺める







綺麗だなぁ…






「お前まだそんな事考えてたのかよ…」





私以外誰もいないと思っていたので






ビクッとなり、とっさに後ろを振り返る






「あ、なんだ…トリックか…」





そこに居たのはトリックだった







トリックはわりぃわりぃ…なんて軽く言いながら








横に来て一緒にポルト・パラディーゾを眺める








しばらくお互い黙ったままだった








トリックとは同期なのに、いつも遠い存在のような気がしていた







もちろん任務自体が違うっていうのもあるけれど







ジュジュビエーヌがトリックを気にしていると、聞いた時から







別にジュジュはトリックを好きだと言った訳でもないのに、






私なんかに振り向いてはくれない、なんて思っちゃって。







高嶺の花…みたいな感じかな







だって、ジュジュビエーヌと男の人を取り合い…なんてしたくはないし






そもそもジュジュのが美人でたくましくて、可愛くて。







私に無いものを全て持ってるような海賊。







そんな人に勝てっこない、







その上今日はロレッタと結婚する〜なんて言ってるし…






もちろん、冗談なのは分かってる






分かってるけど。







…その相手が私ならなぁ……なんて思っちゃったりして






自分で自分が嫌になってしまった








だけど、







そんな彼の横はすごく居心地が良くて。








だからだろうか、







「私なんかもらってくれる人いないな…って思っちゃってさ」






話すつもりは無かった






本当に無かったのに。






ふと、本音が出てしまう







「はぁ？」








「えっ、あっ、ごめんなさい？」







トリックもかなり不機嫌そうな顔でこちらを見てくる







まあ、こんな話急にされてもめんどくさいだけだよね…







「ごめんねトリック、今のは忘れて？笑


後でお酒奢るから！おやすみなさい」






とにかくその場から離れたくて、早口になりながらもそう伝え





部屋に戻ろうとした





ドンッ…






「あれ？」






目の前にあるのはーーー





トリックだけだった

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