恋は少し難しい (ページ14)

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家に帰る道中私とナジェミンは一言も言葉を交わさなかった。先程の様子からしてジェミンが何か話しかけてくるかと少し身構えていたが前をただまっすぐ見たジェミンは何も発することはなかった。

なんなら歩く速度も早く何故かこちらが合わせなきゃならなかった。家に辿り着いてよかったのか、悪かったのかよくわからないがラッキーだったのかもしれない。ナジェミンと隣の家というのは全くラッキーではないが。

「ここがナジェミンの家？」

「うん？」

ナジェミンの家は私の家に負けないぐらいデカかった。もちろんここは高級住宅街なのでどこもデカかったが特にナジェミンと私の家はすごかった。一つの学校なのかと思うくらい。

私の問いに不思議そうなナジェミン。毎日見ているはずなのに変な質問をしてしまったと思った私は急いで取り繕った。

「あ！いや改めてみてもすごいなぁと」

「何がだよ、Aの家の方がデカいよ」

ハッとバカにしたようにため息をついたジェミン。さっきの愛嬌のついた喋り方とはやっぱり様子が違うように見える。学校とは違う人みたいだ。

「そ、そうかな。うん、えとじゃあね」

「……」

こちらをじっと見つめるジェミンに挨拶をして自分の家にあるインターホンを押そうと手を伸ばす。鍵は探してもなくどうしようもなく。

「何してるの、指認証で開くじゃん」

変なものを見るような目でこちらを見るナジェミンに目が泳ぐ。隣だと私の家のことをよく知っているみたいだ。えっと、指認証………？困惑した様子の私を大きいため息をついたジェミンは連れて行き、門の横のセンサーに私の指をかざした。

「……ありがとう」

「…お前」

「え？」

「やっぱりなんか変だけど」

Aそう呼んでいた彼は急に私のことをお前と呼び睨むようにこちらを見た。その威圧感に肩が震えるとナジェミンはそれを見逃さないように私を注意深く見た。

「え、何が………？」

「いつもとは全然違う。喋り方も、その目も」

だんだんと近づいてくるジェミンを避けようと後退りするとカシャンと門に背中がつき、思わずよろけた。ジェミンはよろけた私を支えるように腕を掴み耳元でそっと「全てが」とそう言った。

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