IV ページ49
一方、クラウディアは図書室でひとり、悩んでいた。
クリスマスパーティまで1週間になった。
周りの友はもう既に相手を決めており、クリスマスまでの間、2人で過ごすカップルも少なくなかった。
基本的にもう既にカップルが成立しているならその2人はペア決定事項である。しかし、逆を言えば、クリスマスまでにカップルが成立していない、所謂フリーの人間は、クリスマスの間だけ、ペアになった人間と《恋人》になることができる。
と、深く考えても、クリスマスの間だけである。
例えば、クリスマスを一緒に過ごし、その後は一切関わらない、といったケースも少なくはない。
クリスマスパーティを機会に縮まった距離感は、クリスマス以降の溝になりうるのだ。
クラウディアは周りに気づかれないよう小さくため息をつく。
──ソフィアは今年もウィリアムと過ごすのだろうか。
ソフィアは例年、ウィリアムとダンスパーティーに出ている。
それは、ローゼであれば誰もが知っていることで、入学時から「兄妹であるのに似ていない2人」が「カップル」として踊っていることで話題になっていた。
2人とも整った顔立ちであり、絵にもなるため、2人を飾るようにありもしない噂話だけが学園中を飛び交っていた。
ウィリアムはそれを笑って否定するものの、ソフィアはそもそも人と関わるのを避けるため、真実味が増していた。
──もし、2人がそういう関係なのであるなら。
クラウディアは考える。
ソフィアとウィリアムはとても仲がいい。いつも一緒にいるし、距離感は心無しか兄妹よりも近いように感じる。
──もし、ソフィアとウィリアムが許嫁という関係であるのなら。
「……そこに、俺の入る隙はない、か。」
「お悩みのようですね、クラウディア先輩。」
いつの間にか漏れていた心の声に、図書室で本を探していたサラ・ホワードが声をかける。
「サラ、いたのか。」
クラウディアはあくまで表面上は冷静に、しかし心の中でやってしまった、と内省する。
サラはそんなクラウディアの様子を見て何も言わず横の本棚から2冊本を取り出すと1冊は自分の胸に、もう1冊をクラウディアの胸に渡した。
図書室の本棚と本棚の感覚は狭い。
クラウディアもサラを信頼しているためであろう、サラとの距離感が近かった。
サラは凛とした態度で軽く微笑むと、クラウディアが本を受け取ったのを確認し、残すように呟いた。
「その本、ソフィアが好きって言ってましたよ。」
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春瀬(ﾊﾙｾ)(プロフ) - 雛月いず/りぃふさん» 勝手に書かせていただいております…。ありがとうございます！頑張ります…！ (2020年12月17日 10時) (
レス) id: 41aa1a2dce (このIDを非表示/違反報告)
雛月いず/りぃふ(プロフ) - わぁっ、ソフィアちゃんとクラウディアCPのお話ですね…！とても素敵で、この先どのような展開になるのかとても楽しみです！無理をなさらない程度に更新頑張ってください…！ (2020年12月17日 7時) (レス) id: 0b050cbadc (このIDを非表示/違反報告)
春瀬(ﾊﾙｾ)(プロフ) - ミヤネコさん» 報告遅くなってすいません！少しだけですがファルくんお借りしました！もう少しファルくんとは絡んでいきたいです><読んでくれてありがとうございます！！！ (2020年12月6日 22時) (レス) id: 41aa1a2dce (このIDを非表示/違反報告)
ミヤネコ(プロフ) - ドミに続きファルまで…！出していただきありがとうございます！いい感じの狂いっぷりですね！ (2020年12月6日 8時) (レス) id: 81f9ac9815 (このIDを非表示/違反報告)
春瀬(ﾊﾙｾ)(プロフ) - 山田中さん» ｯｽｰｰ！考えてみます！！ありがとうございます！！ (2020年12月3日 10時) (レス) id: 4abe4ade3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春瀬(ﾊﾙｾ) | 作成日時：2020年11月21日 21時
