�� ページ47
その後、授業があると言ったウィリアムと別れ、ソフィアは中庭のベンチに座り込む。
12月に入り、風が冷たく感じるようになった。
息を吐き出せば、名残惜しそうに白さを残し、空へ消えていく。
「そんなとこにいたら、風邪ひくぜ？」
まるでウィリアムがいなくなるのを見計らっていたように、ヴィンセントがどこからともなく現れる。
「ヴィンス！わぁ、久しぶりだね！ご飯ちゃんと食べてる？怪我とか、してない？ちゃんと寝てる？暖かくしなきゃだめだよ。」
ヴィンセントの姿を見るや否や、ソフィアは早口でヴィンセントに問いかけ、その間も顔色や脈拍など、簡単な健康診断を無許可に行う。
そんなソフィアに苦笑しながらヴィンセントは「過保護…」と呟いた。
「そういうお前はどうなんだ。元気が無いように見えるが」
ヴィンセントはベタベタとヴィンセントの顔や体に触ってくるソフィアの手を軽く避け、寒がるように両手をポッケにいれながらソフィアの横に座った。
「うーん、ちょっと、ね」
含みを持たせるソフィアの言い方にヴィンセントは「クラウディアね。」と断言した。
ヴィンセントは学園中の情報を持っている。ソフィアの恋心を知らないはずがなかった。
ヴィンセントにそう言われたソフィアは焦る様子も無く、ただ照れたように笑うと「ヴィンスにはなんでもバレちゃうね」と呟くだけだった。
「あいつの、どこがいいんだよ」
ヴィンセントはソフィアに恋心を抱いている訳では無い。ヴィンセントはヴィンセントで、別の想い人がいるわけで、ただ、ソフィアには人類で1番幸せに生きて欲しいという気持ちは少なからずあるのであった。
問われたソフィアは首を傾げてヴィンセントを見つめる。まるで、何を言っているのかわからないと言った表情だった。
「あいつは…クラウディアは弱い。フールに同情する癖に、自分を守るためにしか動いてない。お前には、似合わないだろ。」
無感情にそう告げるヴィンセントに対し、ソフィアは怒りでも嫌悪でもなく、共感するように頷き、満足気に語った。
「わたしは、ヴィンスみたいに難しいことはわからないけど。それで言うなら、弱いままでいいんじゃないかな。自分を守れない人は、他人も守れないから。クラウディア様は、自分を守ることでフールのみんなを守ってるんじゃない？」
ソフィアは弱々しく「わかんないけどね」と付け加え、ヴィンスに小さく微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
春瀬(ﾊﾙｾ)(プロフ) - 雛月いず/りぃふさん» 勝手に書かせていただいております…。ありがとうございます！頑張ります…！ (2020年12月17日 10時) (
レス) id: 41aa1a2dce (このIDを非表示/違反報告)
雛月いず/りぃふ(プロフ) - わぁっ、ソフィアちゃんとクラウディアCPのお話ですね…！とても素敵で、この先どのような展開になるのかとても楽しみです！無理をなさらない程度に更新頑張ってください…！ (2020年12月17日 7時) (レス) id: 0b050cbadc (このIDを非表示/違反報告)
春瀬(ﾊﾙｾ)(プロフ) - ミヤネコさん» 報告遅くなってすいません！少しだけですがファルくんお借りしました！もう少しファルくんとは絡んでいきたいです><読んでくれてありがとうございます！！！ (2020年12月6日 22時) (レス) id: 41aa1a2dce (このIDを非表示/違反報告)
ミヤネコ(プロフ) - ドミに続きファルまで…！出していただきありがとうございます！いい感じの狂いっぷりですね！ (2020年12月6日 8時) (レス) id: 81f9ac9815 (このIDを非表示/違反報告)
春瀬(ﾊﾙｾ)(プロフ) - 山田中さん» ｯｽｰｰ！考えてみます！！ありがとうございます！！ (2020年12月3日 10時) (レス) id: 4abe4ade3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：春瀬(ﾊﾙｾ) | 作成日時：2020年11月21日 21時
