不 幸 少 女 ２【A3!】

48話。 ページ3

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「何、書いてんの？」


「えっ、あ」



幸くんの登場に思わず言葉を詰まらせた。

大学で出された課題を談話室にて解いていたのだが、進まずに停滞していた。


そこで、魔が差した。




「なんでオレらの名前、
ひらがなで書いてんの？」

「わー！見ないでー！！」


魔が差しただけなのだ。





「あぁ？どうしたん？」


からかい大魔神、万里くんのお出ましだ。やめて、これ以上近づいたらもっと変な異名を付けるよ。




「字、汚な」
「余計なお世話です」

女子みたいなまるまるした文字を書けというのか。無理だ。私に女(.)子(.)力を求めるべきではないと何度言わせる。



「へぇ……。
俺らのこと、考えてくれてたのか」


「ひらがなで書いてみたらどうなるのかなっていう好奇心が湧いて……」



「んだよ、その好奇心」




うわ。笑った。相変わらず失礼な。

もう最近では、歳のせいか知らないけど好奇心はちょっとやそっとじゃ湧かない。



「ほら見て。
“ひょうどうじゅうざ”って。可愛くない？」

「俺、お前のその謎の感性、意味わかんねぇわ」



「漢字に直したら普通に4文字なのに、ひらがなにしただけで9文字になって濁点多いのにそれでも可愛くて。やっぱり十座くん最高」


「あんたのその、謎のテンプレヤンキー推し何なの？」





「謎ばっかり言われた……！」



悲しくなる。

あ行とか、ら行とか、
“ん”の響きなんかも可愛いと思うのだが。


ほら、例えば“しとろん”さんとか。




「あ。
“るりかわゆき”……、“せっつばんり”……」


「なに」
「んだよ」



どっちも、ら行がついてる。





「……なんでもない。

幼いときに、名前をひらがなで書いてる皆を想像したら可愛いなって思っただけ」




「……はぁ？」




グサっときたのはいつものことだ。

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