不 幸 少 女 ４【A3!】

141話。 ページ6

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「左京さんは虹、見たことあります？」

「馬鹿にしてんのか」


怖いヨォ……。
最近すごく当たりキツイ気がします。

いや、私の質問もある意味悪かったけども。



「虹色のハットグとかどう思います？」

「？ 何語だそれ」


「私今、すごいシンパシー感じちゃいました」

「ふざけんな」


それはもうコンマで謝った。

左京さん、なんせ新聞を片手間にテレビの音声を聴いてるものだと思っていたから、今まさにテレビで特殊組まれている虹色のハットグのことはちゃんと耳にして脳みそにも入れていると思っていた。



「巷では映えるみたいですよ。左京さんもインステなされてるならいかがですか？虹色ハットグ」


「俺がそんな投稿して誰が得するんだ？」

「需要は結構あると思います。左京さんファンの方なら一層」


「若者の心理がわからん……」


30代だからと言って自分より若者に何もかもを譲ってくれる左京さんも素敵だと思うけど、人生100年時代なんだから30代っていっても若すぎる方だと私は思う。

左京さんは素晴らしいお方ですよね。


怒られるかなと思って、そっと口を噤んだ。




「A、ハットグ食べたいのか？」

「あれ？今宵は臣'sキッチンの日？」

「はは、そうなるな」


エプロンがこんなに似合わない男の人いる？っていうのは褒め言葉だ。

ガタイの良さが勝って、主夫らしからぬ格好になっている。カッコイイと思うのは女の性だ。


「ハットグなら片手間に作ってやれるが、どうする？」

「え、そうなの?! 私も作りたい！」


「おい伏見、やめさせろ。こいつ、久々に卵を握るから調子にのって割りすぎるぞ」

「感覚は若者ではないかもですけど、そんなガキでもないですからね?!」


左京さんは小さくフッと笑った。それを、せせら笑いと呼ぶのはさすがに知ってますからね？？



「大丈夫ですよ、左京さん。卵使わないでも出来るレシピがあるんで、最悪の場合こっちを使おうかと」

「臣くんまで！！」


臣くんは爽やかに笑い飛ばした。



「はは、冗談だよA。一緒に作ろう。
いざとなったら止めてやるから」

卵割りすぎるのを？
やっぱり彼はどこか本気で私がそれをやると思っているかのようで。


父の日と母の日に、ギフト買っとくべきだった。





後日、誰かが虹色ハットグを買ってくれた。


誰が買ってくれたかは、その日のインステの投稿にて判明した。とある不器用なお父さんが「若者へ」というコメント共に写真を挙げていました。

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