153話。 ページ20
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カランカランと鈴の音が鳴る。
なるほど。古風な店らしい。
「いらっしゃいま……せ?」
そこには茶色いエプロンを着た名前が笑顔で接客していて。
「Aへ。いらっしゃったから通して」
「なんて横暴なお客様なの……?!」
彼女は笑いながら静かにつっこむし、なんだかんだ案内して連れてってくれる。
「メニューの注文はテーブルの鈴を鳴らしてくださると店員がお伺いします。あと、主に読書されるお客様が多いので、店員の私はあまりお喋りを推奨されないから何かあったらメモでちょうだい?」
「あ、ありがとうございます……!」
Aは一続きに言ってしまってから、ポケットからメモ帳を取り出した。
恐らくAの私物。接客のいろはがビッシリメモられていた。いつの間にこんなに経験を積んでいたんだ。
「見せない努力家って感じ」
「アイツ、自分から自分のこと話さないよな」
ほかの客に呼ばれて小走りして行ったアイツを片目に見るが、慣れているように見えた。
なんでアルバイトなんかしてるんだ。
金のカンパならしてやるし、何よりもオレたちとお前の時間が余計に減ってしまうのに。
なんだか腹の底が煮えたような気がして、渡されたメモに乱暴に書いてやった。
「……お前らも言いたいことあるなら書いとけよ」
「命令腹立つけど、まぁ言わずにアレコレしてるのはなんか気に食わないよね」
「言いたいことかぁ……。最近、あんまり話せてない気がするもんね」
そして、鈴を鳴らす。
Aが気づいたように静かに駆けてくる。
「はーい、お伺いします?」
「ホットミルクティー3つ。Aの奢りで」
「えっ、はっ?!」
「さんせ〜。たまには年下可愛がってよね」
椋がおろおろしてるけど、Aは何故か納得したような顔をした。
大人風吹かすのは変わらないな。絶対追いつけないのを思い知らされてる感じだ。
店長に確認を取っているAのエプロンのポケットに、先程のメモを思い切り入れた。
「わぁっと!もうちょっとだけ優しくしてよ天馬くん……びっくりした」
そう言ってまたはにかむ。
「良いって許可下りたよ。給料から差し引いてくれるって。なんならケーキも食べてく?」
メニュー表のデザートのページを開きながらそう言うA。
なんだよ、無傷かよ。
「お金稼ぐためにバイト始めたんじゃ……。ボクたちが引いちゃって大丈夫なんですか……?」
椋が核心をついた。
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はゆー(プロフ) - ゆーなさん» お久しぶりです、、!長らくお待たせ致しまして大変申し訳ございません。3部の尊さとスランプと、両方と戦っておりました...。これからも折々で更新するかと思いますので飽きるところまでお付き合いくださると幸いです(TT)!! (2020年7月27日 0時) (レス) id: bdd67fba7b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - わあああ!!!更新ありがとうございます、、!!!!莇くんもめちゃめちゃよかったです可愛かったですありがとうございました、、、(;;)番外編もとても素敵で面白いお話でした、!!これからも作者様のペースで無理せず頑張ってください!応援してます!! (2020年7月26日 21時) (レス) id: 405bb7cf7a (このIDを非表示/違反報告)
はゆー(プロフ) - ゆーなさん» >>彼の良さを最大限引き出せるような文章を書けるよう語彙力の修行に行ってきたいと思います。探さないでください(?) と言いながら、私も文字数制限をぶち破ってしまいました。作者としても、やはり屈したくないです(抗うな)どうぞ、これからもよろしくお願いします! (2020年4月23日 0時) (レス) id: bdd67fba7b (このIDを非表示/違反報告)
はゆー(プロフ) - ゆーなさん» ゆーな様!お久しぶりです!コメントありがとうございます(;;)私のこと甘々に甘やかしてくださるお言葉をたくさん、、!個人的には受験で更新できなかった分を取り戻そうとしております(笑)がんばります(泣)莇くんあまり出してあげられてない印象です、、! (2020年4月23日 0時) (レス) id: bdd67fba7b (このIDを非表示/違反報告)
ゆーな(プロフ) - 連投すみません;;文字数制限のため文章少しおかしいです。ちょっくら文字数制限恨んできます( (2020年4月21日 1時) (レス) id: 405bb7cf7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はゆー | 作成日時:2019年5月26日 21時