38話。 ページ41
・
……悩ましい。
そう、目の前で椋に勉強を教えるコイツのことだ。
「Aって、耐性はないんだよね」
「なんのですか？」
俺のぼやきにも素早く返答する。
俺も不意に出た言葉だから口に出てしまったのがびっくりして。
「……いや、なんでもないし」
子供のごとく返す。
「変な至さん……」
と呟かれたのを俺は逃しはしない。
デコピンを下した。制裁だ。
先ほど、万里に『恋愛耐性ない上に、高校生にも弱いヤツ』とからかわれていたAは別に満更でもないという顔で澄ましていた。
もう20歳なのに、恋愛経験もないのだろうか。
そう思うと何だか哀れに思えてきた。
「よっしゃ10キル」
「キルとか物騒なので、
部屋でやっていただけませんか」
「もうすぐ限定ガチャくるの。
咲也待機してもらわなきゃなの」
「はいっ！」
名前を呼ばれて返事した咲也。
Aに、「年功序列とか気にしなくてもいいからね？」って諭されてた。
別にそんなんじゃないけど。
「あ、ちょっと、今回はAも引いてみてよ」
明らか引きつった顔をしたA。
好奇心だ。単なる。綴みたいにドブるタイプなのか、咲也のように代打要員にできるタイプなのか。
「あ、俺っちも！
Aちゃん、引いてくれますか！？」
「うん、いいよ」
「やったー！」
太一が言うと反応するのかよ。
ムッとなって俺のスマホも差し出してみる。
渋々スマホをタップするA。
「ドブった……」
「でっ、出た！
ありがとうございますAさま！！」
俺のは出なかったくせに、太一のは出たらしく、Aを軽く睨んだ。
「至さん。
私の不幸さを侮らないでいただきたい」
ドヤ顔するAに無意味に腹が立って、またデコピンを下す。
女子に対してこんな変な感情を覚えたことはなかったのに、明らかにおかしい。
痛っ、とおでこを抑えるコイツを1μｍいや、1nmでも可愛いと思ってしまったのかも知れない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 665人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はゆー(プロフ) - ふーさん» わー…！すみませんお恥ずかしい…(笑)全然不躾じゃないですよ！指摘されないより間違ってるって哀れにされて無視される方が悲しいのでありがたいです。ご指摘ありがとうございました。直しておきます笑 (2017年9月15日 7時) (
レス) id: e0dbe52e99 (このIDを非表示/違反報告)
ふー(プロフ) - コメント失礼致します。大変申し上げにくいのですが、キッシュはお菓子ではなくフランスの郷土料理です。気になったので指摘させていただきました。不躾で申し訳ありません。 (2017年9月15日 2時) (レス) id: 1c93e14240 (このIDを非表示/違反報告)
はゆー(プロフ) - 唯さん» １度返信したのですがレスボタンを押し忘れていました（笑）ありがとうございます、そう言っていただけると励みになります！たるち推しですか…！やっぱり人気者なんだ…！もっと出そう…！（笑）コメントありがとうございました。まだまだ未熟者ですが頑張りますね＞＜ (2017年9月3日 22時) (レス) id: e0dbe52e99 (このIDを非表示/違反報告)
唯(プロフ) - 初めまして、この作品とても素敵だと思いました..! 至さん推しなので至さんがたくさん登場していて嬉しかったです..! これからも応援しています(*^^*) (2017年9月3日 14時) (レス) id: f51638b8bc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はゆー | 作成日時：2017年8月24日 15時
