39 ページ42
携帯から発せられる電信音にハッ、と現実に引き戻される。
携帯を見ると、この場所に来てから30分の時が流れていた。
『もしもし津島です』
「以前津島さんが疑念に思っていたモビーディック落下の黒幕をA幹部が捕らえたと報告が」
『了解、すぐ向かいます』
端的に電話を済ませ最後に墓に花束を置く。
『それでは織田さん。また来ます』
今は、鼠掃除をしなくては。
車の迎えを呼び、私は足早にその場を立ち去った。
◇◆◇
五大幹部会会議室の前で私は待機をしていた。
さてさて、鼠は誰だろうねぇ何となく予想は付くけれど。
キィ、と扉が開き下を向いていた目を上げ思わず喉がひくついた。
「おや、Aさん。相変わらず美しいですね」
『A幹部ったら、お世辞が上手くていらっしゃる』
「いえいえ事実を述べた迄…貴女は本当に美しい」
当たり前だ。
常日頃、いつ治君に会っても良いように身嗜みはしっかりしてるし髪のケアなんて時間をどれほど割いているか。
「是非、今度ゆっくりお話したいものですね…二人きりで」
『うふふ、嬉しいわ。二人きり…避難壕にでも連れて行って下さるのかしら』
ピクリと男の顔が歪んだ。
『会議は終わりましたか?紅葉幹部に用がありまして』
「…ーー、ええ、終わりました。捕虜は私が預かる所存で…」
クスクスと思わず笑みが毀れる。
「何が可笑しいんです」
少し苛立ったように低くなった声にいいえ、と微笑んだ。
『可笑しいとかそういうのではなくて…、馬鹿にしているんですよ』
「ッッ貴方の地位は高い…が、幹部の私より下だということをお忘れか…?!」
『これから消えてく雑兵に形だけの敬意は必要ないでしょう』
何を根拠に、と腹立たしげに睨みつけるA幹部にそうだ!と提案をする。
『賭けをしましょうよ!貴方が勝てば私の全てを差し上げます。私が勝てば貴方の財産の4分の2を頂きます』
「何を…」
『貴方が黒幕から情報を引き出す事が出来れば私の負け。貴方が死亡すれば私の勝ち。ね?単純で分かり易いでしょう?』
ーーーそれとも、自信がおありではない?
簡単な挑発。
しかしプライドが高いA幹部は相当頭に来たらしくいいでしょう、と頷いた。
『報酬なんですけど先に受け取らせて頂いても?負けたら返しますから』
「…今ですか」
『だって、死んでしまった後では私のお財布に入らないじゃないですか』
そういうのポートマフィアの財になっちゃうんだよね。
639人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ユウリ(プロフ) - ねころさん» 個人的に私もそこ大好きなので(自画自賛)同じ人が居て嬉しいです〜(^^)祝日の間にあと一、二話更新出来たらなぁと思います (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - 神皇音雅樂さん» 指摘ありがとうございます!深夜テンションで書いていたので全く読み返した時と分かりませんでした……ストーキング夢主をこれからもどうぞよろしくお願いします(( (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
神皇音雅樂(プロフ) - 夢主の太宰への一途さが可愛すぎます。これからも更新頑張ってください。あと、32話の"人の話"が"人な話"に、"首領の話"が"首領の話し"になっています。訂正お願いします。 (2019年9月16日 7時) (レス) id: d0313e3af1 (このIDを非表示/違反報告)
ねころ(プロフ) - 潔い…しゅき…のところが好きすぎて見返しては頬が緩むのを感じます。更新楽しみにさせて頂いております。 (2019年9月16日 0時) (レス) id: ef39eb690c (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - コメントありがとうございます!応援して頂けると本当に励みになりますm(_ _)m (2019年9月10日 18時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ユウリ | 作成日時:2019年8月12日 13時