【文豪ストレイドッグス】太宰治に貢ぎたい

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無駄に長い廊下のど真ん中を遠慮無しにずかずかと歩んでいく。


廊下にて談笑していた黒服達はギョッとしながら此方を見て静かに端へよっていった。

前ならばありがとうの1つもあったが今の私にそんな余裕はない。



【通信保管室】と書かれた扉を開けた。


勢いよく開けたせいでﾊﾞﾝｯと音がする。




ーーー「君も長期任務で疲れたろう？帰って休むと良い。話は、其れからでも構わないね？」ーーー



普段幼女の尻を追いかけ回す中年がするとは思えない含みのある笑みに対し、私に拒否権はなかった。



未だ問い詰めたい事は山程あるが、今の最優先事項は【治君の居場所】である。


捜索隊は出していないと首領は言っていたが、かといってあの人が治君を野放しにするとも考えにくい。

横浜内には必ず居る。

なればこそ、調べる価値はあるだろう。


カタカタとキーボードに置く手を休み無く動かし、画面に映し出される情報の１文字たりとも見逃しはしない。



ピタリ、と手が止まる。





其れは、とある資料のとある頁だった。

70億という途方もない懸賞金の掛けられた憐れな人虎の異能力者に関する報告書。


『…ぅげ、担当は芥川か…』




小憎たらしい男の顔を思い浮かべ、思わず顔を顰めた。


彼と私の相性は最悪である。


以前、中原君に何故そこまで仲が悪いのか聞かれたことがあったが、逆に何故良いと思うんです？と聞きたくなった。



思考回路は短期的で、力こそ全てだと考える脳筋野郎。暴力でこの人間の愛憎欲望等々蔓延る裏社会は纏められない。



だから、何時迄経っても治君に認められないのだと大声で言ってやりたい。言った所で、聞く耳を持たないのは理解しているが。



というか、治君直々に教育してもらって何でそんな阿呆な考えを持つのか理解出来ないしたくない。




『…さて、行くか』




粗方の情報を頭に詰め込んだ私は、静かに通信保管室を出た。




嗚呼！漸と治君に会えるーー！！！

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