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私の話をしよう。
特にこれと言って、面白味のない話だが私は治君に出会う迄これといった執着するものがなかった。
首領たる森先生にこの頭脳をかわれ拾われて、様々な事を学んだが知識は増えて行くばかりで興味を引かれるものはなかったのだ。
ハッキリと言おう。
自分で云うのもアレだが、私は森先生の言われる通り動くしかない感情の欠如した子供だった。
森先生自身それで良いと言っていたし私も衣食住さえ保証されていればいいか、と思っていたし。
そんな時、森先生が男の子を連れてきた。
自身より少し年下だろうその子は、今まで見た事が無い程美しかった。
癖のある射干玉の黒髪に、少し色素の薄い瞳。
パッチリとしたその瞳の片方は残念ながら包帯で隠されていて、然しそれさえも彼の魅力の一端になっている。
彼の瞳に映る私は、今まで見た事が無いくらいに間抜けな面構えをしていて今思い返せば笑ってしまう程だ。
『わ、私、津島Aです!貴方の御名前は?』
「…」
「彼は太宰治君、これから私と行動する事も多いだろうからA君には紹介しておこうと思って……って、おーい聞いているかい?」
話をしない彼の代わりに森先生が紹介してくた男の子の名前を心の中で噛み締めた。
太宰治君。治君。治君…!
『一目惚れです、惚れました、愛しています。気持ちに答えてもらわなくても良いです。
一方的に貢がせてください』
「は?」
「おや、此れは此れは…」
珍しいものを見た。
と、そんな森先生を他所に、私の視線は治君に釘付けで目の前の彼は意味がわからないと言わんばかりに眉を顰めていた。
ーーーそれが出会い。
運命的という訳でもなく、一方的に告げた告白は未だ返されていないし私はそれで満足している。
推しの幸せこそ私の幸せ。
私は彼の人生の端っこにちょこっと居られるだけで幸せなのだ。
まあ、そうは言っても生治君を見れないのは辛い。
『治君不足で死にそう…』
4年半程、離れていた癖に何言っているのかと思われるかもしれないけどそれは遠過ぎて会えないと理解していたから諦めていただけであって
今は、同じ街の空気を吸えていると言うのに逢えることも儘ならないという方が辛い。
正直、Qに襲撃されてもいいから会いたい。
無理なんだけどね!!知ってる!
流石の私も、この状況で阿呆な行動なんてしたらちょっと叱られる程度じゃ済まなくなる。
『あ"ぁーーーー…心が枯れそう』
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ユウリ(プロフ) - ねころさん» 個人的に私もそこ大好きなので(自画自賛)同じ人が居て嬉しいです〜(^^)祝日の間にあと一、二話更新出来たらなぁと思います (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - 神皇音雅樂さん» 指摘ありがとうございます!深夜テンションで書いていたので全く読み返した時と分かりませんでした……ストーキング夢主をこれからもどうぞよろしくお願いします(( (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
神皇音雅樂(プロフ) - 夢主の太宰への一途さが可愛すぎます。これからも更新頑張ってください。あと、32話の"人の話"が"人な話"に、"首領の話"が"首領の話し"になっています。訂正お願いします。 (2019年9月16日 7時) (レス) id: d0313e3af1 (このIDを非表示/違反報告)
ねころ(プロフ) - 潔い…しゅき…のところが好きすぎて見返しては頬が緩むのを感じます。更新楽しみにさせて頂いております。 (2019年9月16日 0時) (レス) id: ef39eb690c (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - コメントありがとうございます!応援して頂けると本当に励みになりますm(_ _)m (2019年9月10日 18時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウリ | 作成日時:2019年8月12日 13時