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「2度目はなくってよ!!!」
中原君の上擦った声が、コンクリで覆われた部屋に響いた。
『ん?』
「は?」
「おや」
声を上げたことで私に気がついたのか彼がギギギ、と人形の様に振り向いた。
暫しの沈黙がこの場を制する。
「……っふ、ははっ」
その沈黙を破ったのは治君の耐えきれないとばかりに零された笑い声。
あ、推しが笑ってる。幸せ…。
「アッハハハッ!ふふふ、ははっ」
1度声を出し笑ってしまえば耐え切れなくなったのか爆笑をし始めた。
「よりにもよって、1番見られたくない人物に見られたねェ!中〜也く〜ん」
ひぃーっと苦しそうにお腹を抱える治君に此方を唖然と見ていた中原君が覚醒したのか思いっ切り飛び蹴りを喰らわそうとする…が、
ヒョイッとその攻撃は避けられた。
嗚呼、見事な躱し…かっこよ…ヤバい、語彙力が無くなる。
『治君素敵…』
「ッッだぁー!!!何で入って来たんすか、Aさん!!」
『大丈夫、中原君。私、何にも見てないよ』
「嘘つけ!!!」
即刻バレた。
「…にしても中也、君まだAに敬語を使ってるのかい?幹部なのに?」
「うるっせえな、青鯖!ンなの俺の勝手だろぉーが!」
ニヤニヤと中原君を揶揄う治君にホッコリしながら、私はとある重大な事に気が付いた。
あるのだ。
治君のモチモチのスベスベの頬っぺに、痣が。
『あ…あああああ!!治君!!痣!!頬!!!イヤアアアア!!!』
中原君の次は私が絶叫をあげる番であった。
推しの顔に傷とか万死。えっっ??無理、殺そ。
顔に痣付けた奴は殺そ。
社会的死を味合わせ、その後人間の尊厳という尊厳を踏み潰し一生悔い改め生きてもらおう。
殺すなんて生温い…!!!
「なぁーんか危ない事考えてそうだけど辞めなさい。芥川君の損失はポートマフィアにとって不利益が多いでしょ」
『芥川か…芥川が…!!』
矢張り彼奴は嫌いだ!!
「Aさん…」
呆れた様な、悲しい様な視線が、中原君から注がれる。
だって…だってー!治君の顔に!世界中の宝に!!
『あ、中原君はもう行きなよ。そろそろ幹部会が始まるでしょ』
「切り替え早っ!…つーか、知ってたんすか…」
『知ってたも何も、さっき首領に渡した手紙…治君からだよ?』
だから知ってます。
暫しの硬直の後、そういう事か…と中原君は頭を抱え始めた。
まさしく、ポートマフィア随一の苦労人である。
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ユウリ(プロフ) - ねころさん» 個人的に私もそこ大好きなので(自画自賛)同じ人が居て嬉しいです〜(^^)祝日の間にあと一、二話更新出来たらなぁと思います (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - 神皇音雅樂さん» 指摘ありがとうございます!深夜テンションで書いていたので全く読み返した時と分かりませんでした……ストーキング夢主をこれからもどうぞよろしくお願いします(( (2019年9月16日 7時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
神皇音雅樂(プロフ) - 夢主の太宰への一途さが可愛すぎます。これからも更新頑張ってください。あと、32話の"人の話"が"人な話"に、"首領の話"が"首領の話し"になっています。訂正お願いします。 (2019年9月16日 7時) (レス) id: d0313e3af1 (このIDを非表示/違反報告)
ねころ(プロフ) - 潔い…しゅき…のところが好きすぎて見返しては頬が緩むのを感じます。更新楽しみにさせて頂いております。 (2019年9月16日 0時) (レス) id: ef39eb690c (このIDを非表示/違反報告)
ユウリ(プロフ) - コメントありがとうございます!応援して頂けると本当に励みになりますm(_ _)m (2019年9月10日 18時) (レス) id: 7b452ad7ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ユウリ | 作成日時:2019年8月12日 13時