【文豪ストレイドッグス】太宰治に貢ぎたい

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中原中也には、初恋がある。









15歳の時、人生の大きな機転が訪れたのと同時期に中原はとある少女の微笑みに一目惚れをした。

自身より少し歳上だという少女に恋をし、






ーーーそして…僅か3分も経たずに玉砕した苦すぎる初恋を。



自身より少し前に出てスキップしながら階段を降る初恋相手に落ちないかとハラハラしながら眺めた。








「Aさん、落ちると危ねぇんでスキップは止めてください」


『おっと、これは失礼しました幹部殿』


そう言って、にへらと笑った彼女にドキリと心臓が飛び跳ねた。


ーーー……俺、何でまだこの人にドギマギしてんだ









はぁー、と帽子を深く被り下を見た。

そもそも、幹部となり彼女よりも上の立場になった以上敬語も必要無いが昔からの癖は中々直らない。

そういえば…と少し疑問に思ったことがあった。

憎き太宰が隔離された場所まで、この長い階段は続く。

これを機に聞いてみるのもいいかもしれない









「Aさんは、マフィア辞めないんすね」


ピタリ、とAが止まる。









『…辞めないよ、

辞めれば、その日が私の命日さ』


暗い、闇を含んだ瞳が真っ直ぐと此方を見た。

かつての、太宰を連想させる表情に息が詰まった。


「その目、太宰を思い出すんでやめてください」


『…え？』


驚いた様に目を広げ彼女は硬直した。






『…う、そ…。



え？え？どこら辺？治君と似てる？？えっ、え？？』


治君と似てるなんてどうしよう〜と頬に手を当ててキラキラと目を輝かせるAに


ああー、と中原は宙を仰いだ。









ーーー何で俺、まだこの人の事好きなんだァ？？

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