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gr「や〜…やっときたな!」
夜遅くに自宅に帰ってきて、一息。
もう日が回りそうである。
gr「やっときた!ここまでめっちゃ時間かかったまじで。やることは山積みなんだけど。」
『悲願、達成ね。』
gr「いやぁほんとに。まだまだ頑張らんとなぁ!」
草木も眠るこの時間に、これほど大きい声で話し続けているのは、演説終わりで興奮が覚めやらないから。
ただでさえ多忙なのに、国家元首になって、もっと忙しくしたら、体を壊す可能性もある。Aはそれが心配だった。
『時々休み取りなよ?』
gr「わかってるわかってる。今日みたいな演説も、自分の体が基礎だからな。」
とかいってすぐコーヒーを飲んで、寝たくない、あれもこれもやる、とか言い始めるのがグルッペン・フューラーという男なのだ。
案の定マグカップに手をかけ、今後の野望——もとい、展望を語り始めた。
gr「アノ…コーヒーじゃないんですケド…」
『こんな時間に飲んだらだめでしょ。』
gr「だめっすか?あ、だめすかそうですか…」
Aが片手を振り上げて構えているのを見て意志の堅さを悟り、こっぴどく怒られる前に撤退した。
彼女の方は、潔く引いたのを見てため息を一つこぼし、自分の分のマグカップを持ってグルッペンの隣に座った。
『甘いものも摂りすぎは良くないけれど、コーヒーよりはましかなって。』
こうして二人の時間があるのも久しぶりだった。
ココアからの湯気が、グルッペンの眼鏡を曇らせる。
仕方なく眼鏡を置いた。
gr「なんか、嫁から妻になったよな、お前。」
『何、悪い?』
gr「いや、そうとは言ってないだろう?
ただまあ…難しい質問だな。どっちにもそれぞれの良さがある。」
『…ほんと、そういうこと恥ずかしげもなく言うよね。』
gr「お?思ってること言って何が悪いねん。」
『悪いとは言ってない…』
恥ずかしくなって心の余裕が無くなると、若かったあの頃の、青年と少女の言い合いになる。
一度引き下がったAの勝ち目が無くなることはわかっていた。
gr「…安っぽい言葉で言えば、愛なんだろうな。」
『あー恋もしてみたかったなぁ〜』
gr「絶対許さないんだぞ。というか、俺に恋してないんか?」
『冗談冗談。してたよ、大真面目に。』
gr「おい過去形にすんな、」
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作者名:etra | 作成日時:2024年3月16日 13時