【d!】我々の筆録【短編集】 (ページ8)

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契り gr ページ8

日の沈んだ8時頃。
静かに佇むその背中を、Aは見つめている。

gr「…」

彼が見つめる先には、大勢の国民がいる。
総統となった彼の、声を聞きたがっている。

その彼が、ひとつ、手を叩いた。

gr「…同志諸君。これからは、”総統万歳“だ。」

両手を高くあげた彼に歓声が飛び交う。
大衆の意識は全て掌握されていた。

gr「我々はついに、次のステージに来た。
この統一がなされたのは必然とも言えよう。」

マイクを通してその振動が伝わるくらい、低く響く声。

gr「つまり、だ。我々の力は今一つに集まった。
周りを見れば規模が分かるだろう？
向かうところ敵無しだ。」

声が大きくなる度、観客の期待も高まる。
そういう、弁論の強さがよく分かる。

gr「我々の祖国は敗戦国などではない！
これから全世界のトップに踊り出る！
我々の愛す国を、我々の力で取り戻すのだ！」

雄叫びと言っても過言ではない、声援を一身に受ける。
あちこちから聞こえる“総統万歳”が大きなうねりとなり、一つに集まる。

その様子を見て、彼はまた満足気に話し始めた。