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kn「…はー。」


吐く息が白い。

コネシマが、彼女との生活で身につけた習慣はすっかり白紙と消えていて、ただいまの一言も言えなかった。

隙間風が通り抜ける。夜の風は冷たい。

半分寝ている頭を叩き起こして、戸締りをする。

久しぶりにメンバーに会った分、積もる話が尽きなかったのだ。

街の光が雲に反射して真夜中のくせに明るい。
――カーテンを閉め忘れたせいもある。

それもこれも面倒だと、とりあえず鞄を投げ捨てソファで一息。

乱雑に置かれたリモコンでテレビをつけると、ちょうど天気予報をやっていた。


《季節外れの暖かさが続いています…》


先週は冬らしい寒さで、曇り続きだった。


『洗濯日和だね!』


いつかの記憶。
それこそ、西日に照らされて、綺麗な横顔が見えていた気がする。

2人で1緒に家事をして、笑いあって…
そんな日々が、いつから無くなったんだったか。


kn「っ〜はぁ…」


――調子が狂う。


kn「風呂、は…入れてないんだっけ?」


いつもなら、飲み会終わりは風呂にお湯が入っていた。

仕方ないからシャワーだけでも、と脱いだ服を洗濯機に放り投げる。


『ネットに入れないと毛玉出来るよ?』

kn「あ、ネット。」


放り投げたそれをもう一度手に取り、適当な大きさのネットに突っ込む。
畳むことも無く、とりあえずで。

もう一度入れようと洗濯機を見ると、洗い終わったままの服がまだ底にあった。


kn「ッスーやらかしたぁ…」


半日以上放置されたそれはもう手遅れだ。
また洗濯し直すことにしてシャワーに入る。


kn「…はぁ。」


ため息ばかりついていたって物事が進行する訳では無いことは、痛いほど知っている。
それでも自然と出てしまうのは、多分、病的な不安から。

ぽっかりと空いた穴が、いつから出来ていたのかも分からず、どうしてそうなったのかも分からない。
それが、漠然と不安を煽るのだ。


シャワーの音が雨のように聞こえてくる。
蛇口をひねれば止まるのに、永遠に止まらない雨のような気がして、止めることが許されない気がして、


kn「なん、やろうな。」


何かが、足りない。

心の奥底で、分かっているはず。


何だ。

・→←忘失 kn



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作者名:etra | 作成日時:2024年3月16日 13時

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