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gr「寒いな。」
『隣に私がいるのに?』
gr「あぁ、寒い。直に2人とも冷たくなるんやから。」
歩みはだんだん遅くなって、ついに止まった。
公園の、いつものベンチの前。
『まあね、』
gr「刑務所内で会えるかもしれんぞ。」
『…だといいな。』
そう言って星空を見上げたAの髪がはらはらと流れていく。
風に吹かれて、薔薇が香った。
『こんな甘いの付けてたっけ?』
gr「ん?…あぁ。」
グルッペンの懐から出てきたのは2本の薔薇と、婚約時のリングケース。
gr「もう1回やろうと思ってな、」
『薔薇100本くらい用意しなさいよ。』
gr「昨日今日じゃ無理。」
『こういう時って色決まってない?』
gr「赤は嫌なんじゃ…」
苦い顔をするグルッペンに、Aはため息をこぼした。
当の本人はというと、認めてくれたものとして花束をそっとAの膝上に置いて、リングケースを開いた。
gr「これは来世分やからな。絶対持っとけよ。」
『っふふ、なにそれ。』
gr「嫌か?」
左薬指に2個目を通そうとした手を止めて、見上げる。はにかむように笑うAと目が合って、にやりと悪い笑みを浮かべた。
『上等。ちゃんと見つけて。』
Aが左手に指輪を迎える。
gr「もちろん。」
指輪の輝く左手にそっと手を差し出し、彼女のバッグを代わりに持つ。
月夜に彼の贈ったものたちが輝く。
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作者名:etra | 作成日時:2024年3月16日 13時