【d!】我々の筆録【短編集】 (ページ12)

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その終わりは、案外早く来た。

1年と経たずに不利になった東の戦争は未だに続いている。
どの軍師も撤退を提言した。そして解雇された。
――Aは知らないが、前線に送られたのである。
真冬の荒地に、あるのは頭で、大した銃の腕前もないのに。
事実上の、死刑宣告だ。

グルッペン自身も撤退するべきであることは知っていた。
表向き、冬が終われば有利なのはこちらだとか適当を言って、本当は、そんなの面白くないというのが彼の意見だった。
勝ちきるまで、相手が負けを認めるまで終わらせない。
ある種のモットーだったのだ。

そうこうしている間に西海岸に連合が上陸してきていた。

gr「2段目の師団を全部周辺に寄せろ。相手の数は多くない、大きな問題にはならないだろう。
…念の為、相手の戦艦や戦車を特定してくれ。」

しかし、その言葉も翌々日には裏切られた。

gr「AMX-30？知らない戦車だな…まさか鬱か？
…被害やばいなこれ完全にオーパーツだわ。
メープル野郎、ロマン走りやがったな？」

翌週には国内に核が落ちた。

gr「あんのビッグベイビー…外資系に防衛頼むか、山岳機甲師団いんだろ。」

広大な土地を手に入れた彼らの国。
核でインフラが無くなれば、支援・援軍が遅れるのは必然だ。

gr「これは…うーん…
あー…一度妻と2人にしてくれないか。」

その言葉に反抗することなく出ていく戦略家。
地図が広げられた大きな机と、椅子が数個の狭い部屋に、二人。
丁度上座に座ったグルッペンの後ろにAがいた。

gr「…同盟国はどこもかしこも戦線の維持と防衛に手一杯。かく言うこの国の軍も疲弊してる。これ以上防衛をするのは厳しい。」

Aにも分かるように告げられた状況は、まさしく手詰まりと形容される惨状だった。
上陸された所に集中させたら撃退出来るかもしれないが、その他のところからまた上陸されたら、おしまい。

gr「あいつらには言わんけどな、負けやと思う。」

『…そっか。』

gr「国民のためというなら今すぐ降伏した方がいい。それ以上核は降らないだろうからな。ただ、士気が下がっているとはいえ、それじゃ納得しないだろう。同盟国もな。」

徹底抗戦を訴えたのはグルッペンであり、同盟に引き込んだのもグルッペンだ。
そんな宗主国が1番に降伏したんじゃ、尚更この国の面目が潰れる、とそういうことらしい。
面目を潰すことが出来ないのは、彼がこの国を愛しているから。