金属バットを振り回す【FGO】 (ページ35)

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そういえば、と彼女はふと思い出した

「君にとってのアイリーン…アイリーン・アドラーって？」
「…君はまた、なかなか難しい事を聞くね」

うーむ、と少し考えるそぶりをした名探偵の答えを彼女は珍しく、急かさずに待っていた

「僕には本に書かれた部分しか感情をもらえていない、と思うんだ。予想の段階で話すのは気が引けるが悩んでいたって解決する問題じゃないだろう」
「ふーん、つまんないな…少しは君の人間らしい感情を知れるかも、って思ったのにさ」
「なんだ、君は案外スイーツな脳なんだな」
「案外そうらしい。でも小説見たときは恋愛より尊敬って感じだったな」

彼女は思い出したように本棚へ行き、本を持って帰ってきた

「んー…でもアイリーン見てみたかったなァ…綺麗だったんだろ？」
「僕はそういうのをよく言えないが…まあ、綺麗な女性だった。それよりも目を付けたいのは彼女の頭の良さだがね」
「でも旦那さんいるんだもんね…それじゃあ諦めなきゃか…」
「待ってくれ、なんで僕がフられたみたいに言うんだ？」
「冗談じゃんか、本気にするなよ」

少しムキになったのか、立ち上がった名探偵を嗜めるように彼女はおどけてみせた

…少しムキになるってのが好きかもしれないって証拠になるのには気がつかなかったのか…

「オーケーオーケー。なんか君の地雷らしいからアイリーンの話には気をつけるよ、これからもね。これで許してくれる？」
「怒った訳じゃないが…うん、まあいいだろう」
「でもなんか彼女の名前が出るたびなんたら～って書いてあった気もするんだよなぁ～」
「君は早速約束を破ろうとするんだね」
「ごめんよ」

彼女は、面白い遊びを見つけたようだった